加山VS花組? 壮絶!大神さんブロマイド争奪戦!!




さくらさん、さくらさ〜ん」

 名前を呼ばれて真宮司さくらはくるりと振り返った。

「さくらさん、おはようございます」

 薔薇組の菊乃丞だ。

「おはようございます。菊乃丞さん」
「これからお掃除ですか?」
「はい。大神さんのお部屋を」
「その前に、皆さんと一緒にこれを読みませんか?」

 にこやかに微笑みながら、菊乃丞は一通の手紙を取り出した。

「それは?」
「なんと大神さんからのお手紙なんです」

 語尾にハートマークをなんこか付けそうな勢いで言われ、さくらは一瞬目をぱちくりしてから。

「ええええ!?」

 菊乃丞の話によると、この手紙は米田中将宛ての報告書に同封されていたらしい。
 ちょっとした野暮用で陸軍本部に行った矢先、米田長官から海外から来る郵便物の整理を手伝うように言われたそうだ。
米田中将宛てに花組や他の部署の人材に関して、各国の所要機関からの要望や願書、そして抗議文が送られてくるようになったのでその仕分けをした。
その中に大神中尉からの報告書が入っていたのだ。
念の為に確認すると案の定、花組宛ての手紙も同封されていた。
米田中将は笑いながら菊乃丞にそれを渡してくれたということだった。

「どうして直接こちらに郵送されなかったんでしょう?」
「通常郵便だと時間かかりますけれど、軍関係だと比較的早いですし…それに冷やかされたんじゃないですか?」
「そう、でしょうか?」
「きっとそうですよ」

 同僚から嫉妬。
 菊乃丞が言うには「女の嫉妬も怖いけれど男の嫉妬も怖い」だという。訳知り顔でそう言われるとさくらは納得するしかない。

「サロンの方でゆっくり読みませんか?」
「はい」

 二人は仲良く二階へ上がった。サロンに行くと神埼すみれが紅茶を入れていた。
 マリアと織姫が優雅にティーカップに口をつけている。

「あら、さくらさん。珍しいことですこと」

すみれがそう言いながら菊乃丞に会釈で挨拶した。この二人でのツーショットなんてものを初めて見たからだろう。
マリアは微笑を浮かべて軽く挨拶するが、織姫は二人を無視して紅茶の味を楽しんでいる。

「大神さんからお手紙が届いたそうです」
「隊長から?」
「中尉から?」
「中尉さんから?」

 織姫が顔を上げ、マリアが目を丸くする。すみれは持っていた扇子をテーブルに置いた。
 三人の驚きと嬉しさの混ざり合った言葉に菊乃丞は微笑む。

「じゃ、ここにいる人達だけで先に読んじゃいます?」

菊乃丞の言葉にマリアは少し躊躇いがちに、すみれと織姫はさも当然とばかりにそれに同意した。
菊乃丞は封筒を開けて大神の手紙を朗読する。内容は新しい同僚達や仲間である隊員達のこと。手紙を書いた日は休みだったらしく友人達と街に出て遊んだことなど日常風景が綴られている。

「なんだか楽しそうで〜す」
「織姫?」
「中尉さん。あっちの方が楽しいってカンジ。なんだかむしゃくしゃしま〜す」
「織姫。そんなことはないわよ」
「そうですわ、織姫さん」

マリアは苦笑いを、すみれは余裕の笑みを浮かべながら織姫を慰める。菊乃丞とさくらも淡い笑みを交し合った。
帝国華激団花組の隊長は大神一郎ただ一人に他ならない。上層部の考えは判らないが隊員たちはそう思っている。欧州から必ず花組に帰ってくると信じて疑わない。

「えっと…続きを読みますね…って、あれ?」
「どうかしたんですか?」
「えぇ。『写真写りが悪いとは言わないけれど…変な顔していませんでしたか?』って書いてあるんですけれど」
「あら、本当」
「変ね。そう書いてきているということは誰かが中尉の写真を撮ったってことよね」と、マリア。
「わたし、そんな話聞いてませーん! さっくらさん、どういうことですかっ」と織姫がわめき。
「えぇ? 私も初めて聞きましたよ。そんなこと!」

さくらが動揺して首を横に振る。

「きっと紅蘭ですわ。写真って言うことは機械ですし」と、すみれがきっぱりと言い切ったのだが。
「確か以前、蒸気携帯写真機作っていましたけど爆発してましたよ?」

 菊乃丞のこの言葉に四人の乙女は押し黙る。

「こぉうなったら、直接聞きに行くでーす!!」

 宣言するように織姫が立ち上がる。

「そうね。そのほうが早いし確実だし」

マリアが腰をあげ、すみれも立ち上がる。

さくらと菊乃丞の二人もお互い顔を見合わせてから立ち上がった。

「皆さん、大神さんの写真が欲しいんですね」

 菊乃丞の嬉しそうな言葉に、大きな声で反論する織姫とすみれの後ろに、困ったような表情をしたマリアが続き、俯いてしまったさくらが彼の横に並ぶ。全員、顔は耳まで赤く染まっていた。

「愛されてますね、大神さん♪」

 にこにことそれすらも嬉しそうに菊乃丞は口の中だけで呟く。
 もしもそれを口にしてしまったら、照れ隠しの為に四人から囲まれてしまいそうだったからだ。




2001・04・24UP
なんつータイトルなんざましょ!!(爆笑)
オイラ、この時かなりノリノリで作っていたことが窺い知れるタイトルですな!
いいけどね!(いいのか) この後、かなり阿呆な展開に(爆)
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