Lv06 ビックイベントのその後


あの後は和やかに会話をして【私】達は別れた。

フレンド登録して羽鳥さんはとりあえず満足してくれた、と思う。

少なくともあれ以降はクラン勧誘の話はふってもこなくて、【私】も私もほっとしていた。

本人がそれ以上勧誘しないと発言してくれていたことと、また、新城さんが睨みを効かせてくれていたからだろうと思う。

そうじゃなくって、ただ二人であって勧誘されたらきっと断れない状況下におかれて、なんだかんだと言いつつクランに入ってしまっていただろう。

…いや、本当に勧誘してくださるだけでもありがたいことだとは思うのだ。

クランに入っただけで、材料やレシピだって集まるのは早いのは判ってる。

アイテムを作るときの成功率や、またクラン全体に何かしらの利益があるのは判ってる。

けれど、いいようにクランの思うように物を生産していくだけで、利用されてしまうのは簡便だ。

…このゲームじゃなくて、違うゲームにおいてそういう生産職のフレンドがいたのだ。

結果、そのフレンドはそのクランを脱退したけれど、そうしたら嫌がらせしてくるクランメンバーがいて、クランマスターに何度言っても態度は改善されなかった。

その人を私と友人はかばっていたのだけれど、それが気に障ったのだろう。

私たちにまで嫌がらせは及んで、その人はそのゲームは止めてしまった。

最後にフレンドメールで謝罪が来たので気にしないようにってメールを返信をして、それ以来連絡が取れない。

私たちもやる気がおきなくなって…というかゲームをする気力がわかなくなって、そのゲームのフレンドさんたちに装備を渡して引退した。
そういう経験があるので、少しクランに入ることも恐怖心を持っているのだと思う。

…少しでも【私】はこの世界を愛していたいのだ。

長く、長く。

なので…【私】は出来る限りソロで行く。

新城さんにはこのお話はしてあるので、自身がクランのマスターになった今でも【私】を勧誘はしてこない。

とてもいい人。

ものすごく悪役っぽい笑顔を見せて、からかってきたりするけど。

そうそう、その新城さんから大和皇国の生産できるアイテムのことを教えてもらった!

大和皇国のみで栽培できる花の話や、それとペットフードがどうも作れるらしいっていうこと。

新城さんはあいにくと生産スキルを持っていなかったので、詳細はまだわからなかった。

ペット、というのは皇国独自の技術。

一部のモンスターをペット化して、自分の護衛なんかにできるんだそうで。

新城さん達の軍属クランの名前の一部にあるの剣牙虎(サーベルタイガー)も、そのペットの一部だそうだ。

このペットシステム、もう一人のキャラクターを育てているようで面白い、というのが新城さんからの情報だった。

きちんとペットだけのステータスがあって、中には『採取』のスキルがあるのを最近気がついたらしい。

レベルが達成値になったら「是非に皇国へ」と誘ってもくれた。

「ペットも育成すれば、貴女の護衛にも手助けにもなってくれますよ。是非に」

「あぁ、そのときは僕もたくさん生産に関して情報を入手しておきましょう。歓迎しますよ。ミス・

羽鳥さんもそうおっしゃってくれた。

大和皇国にはまだ行った事がない…近場の帝国領には入ったことがあるけれど…ので【私】はレベル上げを約束した。

「生産職で一気にレベル上げっていう『依頼』あるわけないんですけどね」

「あぁ、やっぱり狩りに行かないと…」

そう、三人で苦笑しあったのはいい思い出です。



いや、実は。

一気にレベル上げ、やっちゃいました。
それでもそこまでレベルは上がっていないし、かなりの時間かかったけれど。


「しかもエミュー(金)も貯まったのぉ」

「結構な額、稼がせてもらったぜ。奴に会ったらまた酒でもおごらねぇと俺の気がすまねぇ」

海洋国家・クローシュのカフェテリアに客として【私】は席についていた。

レシピもゲットしたトロピカルジュースに口をつけて、ほうと息を吐く。

一大プロジェクト、というか一部冒険者の手によって大きくなった『依頼』(クエスト)の全てを終わらせた所だ。

一緒に座っているのは運搬クラン『ラグーン商会』のクランマスターのダッチさん。

そして生産職仲間のドワーフ、ギムさんだ。

ギムさんとはもともとフレンド同士だったが、ダッチさんとはこの一件でフレンドになった。

ことの始まりはギムさんのフレンドさんで、採取を得意とする釣り師の方からのお話だった。

大きな麦藁帽子に赤いTシャツにジーンズで、訛りの強い男の子。

この方、もうかなりの釣り好きで釣り用のアイテムをギムさんに生産してもらったのを切欠に意気投合したとのこと。

そんな彼がNPCでクローシュのお偉いさんから伝説の魚の情報をGETした。

ものすごく大きくて、味も良いって古文書に書かれている魚がいるって聞いた彼は仲間の釣り師の人たちにもその情報を話して「皆で釣り上げよう!」ということになるのに時間はかからなかったそうだ。

ただ魚を釣り上げるだけだったんだけど、その魚をめぐっての王国内での陰謀だの、魚が出現してからはその魚が出るために陸に近い場所まで海洋モンスターが現れたりと、まぁものすごいことになっていた。

その間【私】はというとギムさんに相談を受けて、釣り師達の装備一式に力に付属効果が着く衣服に変えさせたり、木材加工のスキルを使って釣りアイテムを作っていた。

運搬クランのダッチさんは、同じクランに【私】のフレンドがいたために声をかけた。

材料の運搬もともかく、沖合いに出ないことにはこの魚を釣り上げられないという情報を釣り師の人たちが入手したからだ。

いや…本当…ダッチさんが用意した船より微妙に大きかった…。

釣り上げたのは釣り師全員と彼らを支えた運搬クラン(NPCを含めたいくつかの船団)の連係プレイのおかげだ。
               
 パーティ
【私】はその器用度の高さから PTメンバーに入れておけば何かの役に立つだろうとギムさんのフレンドさんたちと組ませてもらって、彼らに付属効果を与え続けていた。

主に体力と力を中心にしたメニュー。

それが少しでも彼らの助けになったのならいいな、と思っていたら…釣り上げた途端に膨大な経験値がどかんと入ったのだ!

喜んだのもつかぬ間、その後も大変。

一度釣り上げられたその魚を完璧なまでに解体して、周辺の街は勿論他所の国に輸出する段取りがされていた。

料理のスキルを一定以上持った冒険者が集まって、陣頭指揮をなぜか【私】がとった。

「うーまーいーぞー!!」とか言うおじいさんの冒険者や、関西弁の男の子とかその子のお友達の料理のスキルを持つ冒険者もいたけれど、熟練度が【私】が一番高かったからだ。

【私】達は自分達の取り分も入れて、その巨大すぎる魚を必死に食べやすい大きさに分けたり、食料品店に輸出しやすいように切り分けた。

おかげで全員短剣スキルの熟練度ががんがん上がった。

それが終わり次第、近場以外のところに持っていくものに魔術師系のスキルを持った人たちが氷結系魔術で冷やした。

遠くの国に輸出できる作業だ。

その処理がすんだところからマーチャント(商人)の冒険者達が各々分担の『商品』としてそれらを捌いていった。

NPCのクランもあったけれど、いや凄い勢いだった商人クラン。

特に皇国。

運搬クランの皆は彼らに雇われて魚肉を運搬する手伝いに終始関わっていた。

ようやく先ほど最終便で皇国まで出ていたダッチさん達が戻ってきたし、【私】たちも新しくフレンドになった人たちの見送りやクランへの勧誘のお断りを一段楽させたのでこうして席を設けていた。

疲れたけれど得るものはたくさんあった。

それは経験値やお金だけじゃなくて、いろんな職業のスキル、新しいレシピ本や裁縫の本の習得、モンスターの生態やお国柄の情報は勿論のこと、新しいフレンド達ができたことだ。

クランにも誘われたけれど、それは懇切丁寧にお断りした。

しつこい商人クランの人もいたけれど、最後には捨て台詞付きで去っていったので、まぁいいかと思うことにしている。

エミュー…この世界における通貨…をかなりの金額まで頂いたのは、釣り上げた釣り師たちの成功報酬の分配も【私】は受けてしまったからだ。

正直に話して、釣り師に返却しようとしたのだが断られてしまった。

魚をさばく陣頭指揮と、弁当やそのほかもろもろの代金だと思ってくれと釣り師たち全員から言われたので受け取ってしまったのだ。

料理をした冒険者達にも均等な金額を渡したのだが、それでもかなりの収入になった。

ダッチと入れ替わりに見送った冒険者は、いままでPTを組んでいたその釣り師のメンバー達だ。

どうも次の大量アップデートのときに新しい大陸が出来るらしく、そこに一番近い街に移動するとのこと。

また大物の話が出たら連絡するので頼む、と言われたので笑顔でそれを了承し、【私】が作れる中で一番いい釣り糸を渡して別れを告げた。

気持ちのいい人たちだった。

一部商人クランの人たちに嫌なことを言われてしまったが、それをすっかり忘れさせてくれた。

うむ、満足満足。

「これからどうされるんですか、ギムさん」

「わしはレイリアとニースの都合によるの。…そうそうお前さんの縫い針も補充しておかんとな」

ありがとうございます、と頭を下げるとなんのなんのとおひげを撫でるドワーフ。

はどうする?」

「そうですねぇ」
              
わたくし
「何も予定がないのなら、私 達と一緒に神殿にいくというのもありですね」

「お母様、も一緒?」
           
ホーム
「それよかここいらで『家』作ってくれりゃあいいのによ」

「お帰りなさい、ニース様。レイリア様。レヴィ」

顔見知りのウェイトレスに注文を取ると、レイリア様とニース様は【私】に微笑みかける。

レイリア様は小学生ぐらいの年代の少女で、ニース様は今の【私】より…そう私に近い年代の女性だ。

二人とも髪を背中に流して、小さな髪飾りをつけている。

その髪飾りは二つとも、ニース様の隣で昼間から軽めとはいえアルコールを傾けているドワーフの作品。

ギムさん、レイリア様、ニース様は少し前に大ブームを巻き起こしたファンタジー小説の登場人物たちの名前なのだそうだ。

「でも、そのままっていうわけではないのよ。彼らの過去の姿をロールプレイしてみているの」とは、ニース様の言葉だ。

本来ではギムさんやニース様は年を重ねた存在で、レイリア様に至っては今の【私】と同じか少し上だという。

小説や漫画ではニース様の若い時分の姿も描写されているものもあるので、それを知っている冒険者とPT(パーティ)を組むと楽しいとのこと。

あぁ、【私】がどうしてレイリア様とニース様のお二人をこうして様付けでお呼びしていたり、慣れない丁寧な言葉を使っているのは彼女達が大地の神を信仰する神官だからだ。

この『世界』にはたくさんの神様が存在している。

その中で【私】の職種であるファーマーは、自然の神様達を信仰しているというのが公式設定としてある。

大半の冒険者がそういう公式設定の情報を無視しているだろうが、折角なので【私】はそれを生かすロールプレイをすることにした。

特に大地の神様は【私】にとってはありがたい神様だ。

だって生産品の原材料とか、食料品とは野菜は大地の実りなんだもの。

神官様たちは、高いレベルになれば信仰している神様の特色をもった属性神聖魔法のスキルを取得できるようになる。

…他にも特殊装備なども存在してるようだけど、その辺りは【私】は知らない。

レイリア様が使ってくださる『大地の祝福』は人に対しては物理防御の数値を増やすが、この魔術スキルを使っていくとさらに植物にかけると採取の数を増やしたり質を良くすることができるようになるのだ!!

もう崇め奉るしかないでしょう、大地の神様。

そうそう、聞けば大元のその小説の彼らも同じ属性の神様を信仰しているのだとか。

「戦闘スキルにこうした付属効果が出ると、ほっとするの」とはギムさんの言葉。

レイリア様も教えてくださったときは、すごく嬉しそうに微笑んでいらしたっけ。

も一緒だと楽しいわ。勿論、レヴィ達も一緒に来てくれれば嬉しいのに」

「嬉しいことを言ってくれるぜ。レイリアお嬢」

サングラスをかけた黒人男性のいかついダッチさんが、清楚な美少女神官に礼を言っているのを聞いて思考が回想から現在に戻る。

「確かお二人は司祭になる『依頼』を受けに行かれるのですよね」

【私】がそう聞くと二人とも嬉しそうに微笑んでくれる。

ギムさんもどこか誇らしげだ。

「けっ。あたしらが行ったら神殿やら行ってたたき出されんのが落ちだ」

「レヴィは戦神の教会には行ってるのに」

「暴力教会と、普通の教会やら神殿を一緒にしてんじゃねぇ。甘ちゃん神官」

レヴィの言い方に、ぶうとレイリア様が唇を尖らせているのを見て、ギムさん達と一緒に【私】達も小さく苦笑いを浮かべた。

「レイリア、無理にお誘いしてはいけませんよ?」

「はい、お母様」

母子の女性神官のやりとりにレヴィは一瞬、目を細め、そうしてから【私】に目線をくれた。

「ニースとレイリアの方についていく前に、『家』買っちまえって。姉御」

「いや、ついていくって決めたわけじゃないのだけれど…」

けどレイリア様の「一緒に行って?」という懇願の瞳には弱い【私】。

美少女の上目遣いは同性にも威力が有ると、しみじみ思う。

「『家』…。そういえば私達も司祭に無事に就任いたしましたら、小さな『神殿』を建てられる権利が与えられますね」

ニース様の言葉にギムさんが「そうじゃの」と頷く。

『家』(ホーム)というのは文字通り個人の家のことで、これが一般職の人間が建てられてそこに住むことが出来るものだ。

『神殿』はその名のとおり、神官系の冒険者が建てられ、そして住むことができる建築物のことで神官達と許された冒険者が住むことができるもの。

『家』を作るとするとかなりの資金が必要になる。

戦闘職で『家』を得るにはNPCが用意して管理している街の中にある居住スペースを借りるか買うかすること。

あるいは生産職に『家』を建ててもらうことだ。

どちらにしても場所(土地)代や、材料に関しても生産スキルがないと集めきれないのでNPCから買うことになる。

【私】?

【私】はまだそれに比べたら安いほうだ。

【私】の生産スキルの中に『木材加工』というスキルが有るが、これの熟練度を上げていくとログハウスが建てられるようになる。

使う材料もなんとか頑張ればそろえられるだろう。

かかるのは土地代だけだ。

『神殿』の利点は知らないが、この『家』の利点は生産職に関してだけならかなりある。

今までNPC…【私】で言うならバルト農園で使う台所の場所をもう借りなくていい。

香辛料や材料も農園以外のものを使うのに気を使うこともない。

物だって今現在のアイテム容量を遥かに超える倉庫の扱いもできるし、今まで持ち歩いていたものをそこにおいて、手荷物を少なくもできるのだ。

採取の方も、家の土地のほかに多めにお金を支払えば畑も出来るのでそこで農作物を育ててもいいのだが…けれどそうできる条件で、今【私】が知っているのはリヒターゼンとヴィオラートの間のあの土地しかない。

もしかしたらこの国にもあるのかもしれないけれど、あいにくと【私】も私も知らないのだ。

正直…リヒターゼンのあの場所にはトラウマというか嫌な思いでしかないのでその場所に自分の家を作るのは躊躇われる。

というよりもぶっちゃけ嫌。

「や、ただいま」

「またせたかな」

金髪でアロハシャツを着た白人男性と、白いシャツにネクタイを締めた典型的な日本人の男性がやってくる。

「おっせーぞ、ベニー。ロック!」

「お前さんだってさっき来たばかりだろう? レヴィ」

ギムさんにそう言われても「あたいはいいんだ」とレヴィはにやりと笑う。

「こんにちは、お待たせして申し訳ありません。ニース様、レイリア様、ギム」

「ごめん。ちょっといざこざに巻き込まれて」

巻き込まれた?

ロックが【私】の席の隣に座る。

「巻き込まれた?」

【私】の疑問をレヴィが口にしてくれる。

彼女の目が据わりかけ、レイリア様とニース様が心配そうに彼らを見つめる。

「大丈夫ですか? 必要ならば…」
                             
ノー・プロブレム
「えぇ、大丈夫。ニース様たちの癒しを受けなくても。問 題 な しですよ」

心配そうなニース様とレイリア様の様子にやって来たベニーさんは手を振ってみせた。

「ベニーさん、ロック。何にする?」

「アイスコーヒーで」

「あ、僕も」

やってきたウェイトレスにお礼を言って、レイリア様たちの飲み物を貰った直後に、二人と、さらにギムさんとダッチさん達分追加注文をする。

「で、なんの話だい?」

に『家』を買えって話さ。資金は今回ので貯まってるはずだからよ。ここでマンションでも借りりゃあいいんじゃねーかって」

「何、この国決定なの? レヴィ」

「あったりめーだろ? の姉御はこの街であたいらに美味いもん食わしてくれりゃそれでいーんだよ」

「レヴィ、それは横暴すぎ」

にこやかな笑顔でさらっと言ってみる。

はっはっは、とダッチさんが軽く笑った。

「まぁ、確かにがこの国にいてくれりゃあ俺達『ラグーン商会』も大いに助かるがな」

「あぁ…そうだね。クローシュは海洋国家だから物の出入りもいいし、本気で検討してくれるといいよ。…治安のいい場所探しておくから」

あわわ、ダッチさんとロックが本気になってきた。

「それ、待った」

「あん? なんでだよ、ベニー」

「大量アップデートのこと、君も聞いたろ? レヴィ」

そう言ってから少し無精ひげをつけたアロハの服装の彼は眼鏡を押し上げる。

「レイリア様たちもお聞き下さい。今回のアップデート、結構しゃれにならないぐらいの量なんだ」

え、マジで?

「…公式スタッフのブログのいくつかと、ニュース速報掲示板に提示された情報をさらったんだが今回のアップデートの時間に48時間必要らしい」

「「はぁ?」」

【私】とレヴィの声が重なる。

これまでもアップデートはあったけれど、3〜4時間で終わっていた…はず。

「おそらくはもうすぐ公式サイトの方で情報はアップされると思いますので、ご確認下さい」

「ご丁寧に有難うございます」

いえいえ、とベニーさんがニース様と微笑を交わす。

「公式的に発表したのは新大陸と新しいダンジョン、モンスターの存在だけど、それだけで48時間かけるとは思えない」

ロックが考え込む。

「ブログの方じゃまだ隠していることがある、なんてニュアンスも出てるしね」

ベニーさんが苦笑いした。

「その隠されたことが生産職に影響が出るものか、それとも戦闘職に影響が出るものなのか判断がつかないから、少なくともアップデート終了後の方がいい」

「ここの運営会社、本当に人の斜め上の思考してるからな」とはレヴィ。

「レイリア様達の【依頼】に影響はなければいいけれど…」

【私】の言葉にベニーさんが否定してくれた。

「あぁ、それは大丈夫。既存【依頼】の変更等は行わないようだからね」

「アップデートねぇ…」

「作れるものが増えると嬉しいですよね、ギムさん」

「確かにの。剣系統もいいが種類が増えるのは良い。あと装備品とかに追加効果が付けられればなおのこと」

「ギム爺さんも『ガンスミス』のスキルとってくれよ」

「わしゃ、作るなら刀剣の類じゃな。それ以外は生活雑貨じゃ。ほかを当たれ。どうしても、というならナイフで我慢せぃ」

そうこう話しているうちに「お待たせしました」とウェイトレスがやって来たので飲み物を頼んだ冒険者達に配り終えて、支払いを済ませる。

「皆、飲み物は行き渡ったか? それじゃあ僭越ながら俺が音頭を取らせてもらう。
今回の一件、全員無事にビックイベントを終了させ、お疲れ様。
あの連中が去ったこの後も俺達の友情と、そして少しの金回りと大地の神の祝福があらんことを」

ダッチさんの言葉に皆が笑顔になっていく。

「じゃあ」


「「「「「「「「乾杯!!」」」」」」」」

それぞれが、まったく違う飲み物を掲げた。



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