Dear my friend
勇者警察Jデッカー/逆ハー&勇太一人勝ち/唯様リクエスト
「危ない!」
そう叫んでロボット以上の反応速度を周囲に見せて。
あたしの身体は「彼」を抱えて横飛びした瞬間に、高熱を肩に感じた。
「さあて、お前さん。何回目かの?」
忘れました。
「軽い怪我じゃ15回、これだけ大きいのは2回目ですv」
そうあたしに変わって答えたのは綾子さんだ。
笑顔が怖い。笑顔が。
「そうかの」
初老の、顔見知りの病院長はにっと笑った。
「まあ、人様守るのはええけど自分の身ぃも守らにゃ一人前とはいえんのと違うんかのぅ」
「…ど、努力はしてるんですが」
そうあたしが言うと、そっくりな笑顔で二人はあたしに微笑みかける。
「「……」」
「す、すいません」
あたしは素直に頭を下げることにした。
事件としては国際的にそれと知られたテロリストが最後のあがきに拳銃を取り出して一般人に対して発砲した、のだ。
あたしはそれを察知して、その一般人を小脇に抱えた。
ロボット達はそのテロリスト連中が作ったロボット兵器を倒した瞬間だったので、こちらまで対応し切れなかった。
まあ、彼らのフォローのためにあたしがいるのだから怪我も別段かまわないだろうと思うのだ。
あたしは。
なのに。
古巣の連中からは笑顔で嫌味にくるし…、今現在は。
綾子さんがにこにこ笑いながら病院長に応対したかと思うと、くるりとあたしに向かって目を吊り上げた。
「!」
「はい」
神妙な顔をしてす返事をすると、彼女は乱暴に椅子に座る。
この病院は以前の職場の管轄内にある小さな病院。医者としての腕も確かで、あたしはずいぶんと長くここにはご厄介をさせていただいている。
「判ってる?」
何を? と、あたしは聞き返さない。
身体には今現在、大きな傷が二つある。
一つはあのカゲロウ事件の時に、そしてもう一つが今回作ってしまった傷だ。
二つとも銃痕で、現代医学では今のところ痕は消せない、ということだった。
一つ目のときは至近距離で、しかも防弾チョッキを着ていなかったから仕方がないといえる。
だが二つ目、今回のは防弾チョッキを着ていたのにその弾丸は間違うことなく、あたしの身体を傷つけた。
「日々、武器は進化しつつあるってことですよね…」
「違うわよ」
「へ?」
「そんなに身体を傷つけてどうすんのよ、嫁入り前なのに!」
…………。
………ああ、そっちか。
「いま、何考えたか当ててあげようか?」
「いえ、結構です」
「そりゃあね? あたしだって仕事に生きてる女だし? 貴女の言いたいことは良くわかるわよ? でも貴女はなんだか違うのよ。人を守るために自分を捨てすぎるの」
「…参った…。まさか貴女に言われるとは思ってませんでした」
「あたしだけじゃないわよ」綾子さんは足を組む。「セイアさんもそう思ってる」
「ちょっと待ってください。あたしは…」
「警察官だって、限りある命である、人間なのよ」
参った、とあたしはもう一度心の中でつぶやいた。
「心配なの。貴女と、それからブレイブポリスの皆がね」
くすり、と笑うと綾子さんはノートパソコンを開いてキー操作する。
この部屋は特別らしく、携帯やこう言った類のものが使えるようだ。
「刑事」
デュークがいつもよりも堅い声で画面からあたしに話し掛けてくる。
「デューク刑事…?」
「今回の事件に関しての報告書及び始末書はこちらで作成し、提出しておきました。傷を早く治して現場復帰してください」
「はい、了解しました」
「それと…レディが…」
レディ? レジーナがどうかしたのだろうか?
「あたしはここにいるわ!」
「うわっ」
デューク刑事が映し出されたフェイス画面(顔のみ四角い画面の中に映し出す)を押しのけるかのように、レジーナが怒った表情で割り込んでくる。
「 「駄目よ、!」
「はい」
「これで何度目なの!!」
レジーナは顔を赤くして怒っている…が、回線を割り込んできているということは…ハッキングだろうか…。
「違うわ。国際ブレイブポリス連盟の連絡ツール試作品の実験をしてるの。リアルタイムハッキングなんてするわけないじゃない」
…今、あたしの考えは顔に出ただろうか。
あたしはそっと自分の頬を撫でる。
「駄目よ、。…それ以上、身体に傷を作ったらお嫁の貰い手がなくなってしまうわ!」
いるんだろうか、果たしてあたしを貰ってくれる男性が。
「それなら問題はないのでしょうか? レディ」
「あら、どうして? デューク」
デュークがなにか言おうとした瞬間。
「はいはいは〜〜い! 何話してるの〜!!」
ドリルボーイが画面狭しと回線に入ってきた…。
「レジーナ、その試作品、もしかしてブレイブポリス標準装備…?」
綾子さんの言葉にレジーナは「そんな訳ないでしょう!」と声を張り上げる。
「ドリルボーイ…?」
「前にが使ったツールをシャドウ丸が使いやすくしてくれたんだーv」
…元はあたしのハッキングツールか……。
「すみません、このことはご内分に…」
「どうしよっかなー」
頼みますよ、本当(涙)と、あたしは思わずつぶやく。
現役警察官が緊急時とはいえ、ハッキングツールを作成したとなっては…と綾子さんの顔を見ると満面の笑みが…。
「これ、貸し一ね♪」
「はい」
「ねぇねぇ、何話してたの〜?」
かくかくしかじかと説明すると、ドリルボーイは笑った。
「なあんだ! そんなこと? 全然問題ないよ! だっては僕が…」
ドリルボーイが何か言おうとしか瞬間、画面がぶれた。
「うわっ! なにすんだよ! シャドウ丸!!」
「なにすんだよ、じゃないでしょう? なにすんだよ、じゃ。あんたパトロール中におしゃべりだなんていい度胸…って?」
シャドウ丸のフェイス画面が、ドリルボーイのそれを押しのける。
「あんたもいい加減にしときなさいよ。俺達のAIに何回ショックを与えれば気がすむんですか」
「はい、申し訳ないって…シャドウ丸…貴方ねえ…」
「こんな便利なもの、削除してしまうのは惜しいでしょう?」
そういう問題ではない。
「で、ドリルボーイ。何を言おうとしてたの?」
レジーナがそう聞くと、ドリルボーイはまた、にへ〜と笑って「だからが身体に傷負ったって全然問題なしだよ、僕!」と断言する。
……え? 僕?
「だから僕が…」
「何言ってるんですかね、ドリルボーイは!!!」
がん! という鈍い音とともにドリルボーイのフェイス画面がぶれたかと思うと消える。
……。
「シャドウ丸…?」
「すみませんねえ、ドリルボーイは通信できない状態になってますね」
おい(汗)。
あたしは動きを止めて、綾子さんは笑いをこらえていた。
…いま、ドリルボーイに何したんですか、貴方は(汗)。
「俺もの身体に傷がつこうと全然気にしませんよ?」
シャドウ丸はそう言うと笑う。
「だから、その、あんたは…できることなら…」
「シャドウ丸…?」
もごもごと珍しく彼が口ごもった瞬間だ。
「HEY! !」
ガンマックスが回線に割り込んだ。
その後は…まったく…みんな同じようなことを繰り返すので、あたしは恥ずかしくて赤面する。
「あんたみたいなじゃじゃ馬に似合うのは…」とガンマックスが言おうとした瞬間は、「なに話してるんでありますか?!」とダンプソンが。
「まあ、自分が知っている中では…」とダンプソンが言おうとしたそのときは、「お、!」とパワージョーが。
「そ、そ、そんなオマエでも…」とどもりながらパワージョーが言うと、マクレーンが「一体全体、皆で何をしているんです?」
…。
「……、モテモテね」
綾子さんの言葉に、レジーナも、フェイス画面を押されっぱなしのデュークも苦笑する。
ありがたいですね、とあたしが言った時だ。
「さん! お見舞いに来たよ〜!!」
花束を持って、友永警部が入ってきた。
くすくす笑っている綾子さんの様子を?マークを浮かべている友永警部に、レジーナも笑う。
「何笑ってるの? 皆して」
「あ、あのね…?」
笑いながら、綾子さんが説明すると、友永警部も満面に笑みを浮かべた。
「うん! 僕も気にしないよ! ね? デッカード!!」
デッカード?
友永警部は自分の通信機を取り出すとデッカードをわざわざ呼び出したようだ。
「ああ、私も気にしないよ。勇太。刑事に対しての評価は全く変わらない。どんなに容姿が変わろうとも」
「…ありがとうございます」
あたしがそう言うと、綾子さんたちはまた笑う。
「そうだ! あのね、僕いいこと思いついちゃった!」
友永警部はそう言うとあたしの顔を覗き込んだ。
「もしもさんがお嫁の貰い手がいなくなっちゃったら、僕がちゃんと貰って上げるよ!!」
…。
…。
誰を?
「さんを!!」
とたんに、レジーナとデューク、そして綾子さんの動きが止まり。
デッカードと、マクレーンも目を点にさせ。
…。
「あ、ありがとうございます」
消え入るようなあたしの返事に、笑いが爆発した。
数日後、この会話を聞いたセイアさんと冴島総監が大笑いして友永警部のご機嫌が悪くなったのは言うまでもない。
もちろん、なぜか「ボスに先越された」と言うシャドウ丸たちも。
とりあえず、あたしは怪我を癒すことに全力を注ぎ。
友永警部に貰われるのなら、まあ、いいかな? なんてことを考えていたことをとりあえず黙っていることにした。
もしも友永警部に貰われることになるのならば。
その日まで。
END?
2002・01・01 UP
逆ハーレムということでこんな話題にしてみましたが…。
ご期待に答えられておりますでしょうか(汗)。
なんかちょっと違うような(滝汗)そしてわけわかんないような…(涙)
タイトルは大嘘っす。申しわけありません、唯様。
ちなみに勇太くんと結婚したらデッカードももれなくついてくるんでしょうかね(苦笑)。
唯様、リクエストありがとうございました〜♪
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