『友達』でなんていられない
(1)
オトコとオンナは友達になれないなんて嘘だ。
現に、あたし、はもう中学時代からの大親友が男の子。
その頃からサッカー好きな奴だったけれど、その努力の結果が花開いて、今では有名なJリーガー様。
自分のことのようにそれが嬉しかった。
だって親友が好きな道を選んで、それが認められていくっていうのは凄く素敵なことじゃないか。
親友、友達、心の友。
ずっと前からそうだったから、いまさらその「友達」の地位があたしの意識の中で揺らぐなんてことはなくて…。
まあ、そう考えてたのはどうもあたしだけ……だったらしい。
「ねえ、さんは好きな人とかいないの?」
中学時代の部活仲間、森長の結婚式に呼ばれたあたしは同じ席に座って、着慣れていなさそうにネクタイをいじってる親友の顔を見た。
親友の名前は、風祭将。
今現在、Jリーグでプロとして活躍している桜上水の出世頭(?)。
まあ、もう一人、水野竜也君もそうなんだけど。
久しぶりに直で会えた親友の言葉にあたしは眉をひそめた。
「あ? あたし? 今?」
「う、うん」
おずおずと切り出す口調と仕草は昔どおりで、笑っちゃう。
中学校を卒業するまで一緒の部活動仲間であった彼は、今ではある意味有名人なのに。
「今は…恋愛はちょっち勘弁って気持ちかな」
思い出しても溜息が出る。
「あたしってそういう意味では男を見る目がないのよね、実際」
「そ、そうなの?」
「うーん」
オトコの風祭に言っても引いちゃうだけだから、あたしは心の呟きを口にはしなかった。
中学時代はオトコよりもサッカーだったし。
高校時代の彼氏は、サッカーがするのが好きなあたしをまず良くは思わなかった。
試合で体を痛めて、もう全力で走ることが出来なくなったあたしを、最後には振ってくれたし。
「お前、バカみたいだよ」っていう捨て台詞には何度悪夢を見たか…。
いや、そんな奴を好きだって思ってて彼氏にしてた自分が…精神的に痛かったし。
しばらくして、付き合おうと告白してくれた子も外見と中身のギャップの激しさについてこれなくなったし。
「うん」と、あたしは頷く。
「かわりに友達の見る目は抜群にいいんだけどねっ!」
とうぜんその友達は君だぞ!
なんて言うあたしに、側に座ってた高井が、深く溜息をつきながらなぜか風祭の肩をたたいた。
「頑張れ」
? 何を?
?マークを飛ばすあたしを尻目に、高井は風祭を慰めていて、そんなあたし達を知らずに森長がスピーチに感動して少し泣いていた。
それがあたしの中での森長の結婚式で、確かな記憶。
だって気が付くと、あたしはソファに座っていたから。
記憶の断片をようやく巻き戻して。
「ああ、ここ、風祭の家だわ」なんて声がリビングに響く。
二次会…三次会…指が5つめまで折れて。
「何回、店変えたっけなー」
「6回」
なんて言ったのは、バスタオルを頭にかぶせて、上半身裸で出てきた風祭だった。
「なんつー格好してんのよ。うら若き乙女の前で」
なんてあたしが言うと、なぜだか風祭は嬉しそうに笑った。
「意識してくれるの?」
何を言い出すんだろう、こやつは。
あたしは、たぶん目を丸くして、それから苦笑いした。
「何言ってんだか」
そう言って目をそらして天井を見つめる。
アルコールがまだたっぷり残ってるんだろう。
なんだか体が熱い。
顔がほてってくるのを止められない。
「幸せそーだったねー、森長」
それをごまかすために、あたしがそう言うと。
「うん。花嫁さんもきれいだった」
あたしの隣に、風祭が座る。
…ってちょっと。
「なんか凄く近い気がするけど」
「うん」
うんじゃねえぞ、こらあ。
なんておどけて言おうとして顔を見ると。
中学時代には試合でしか見られなかった、あの真剣な顔。
な、なんで?
「さんも、憧れる? 花嫁さん」
「そりゃあ、女の子ですから」
慌てたように言うと。
「僕も今日の森長に憧れるな」
「…感動して鼻水たれてた森長に…?」
「好きな人とこれからずっといられる森長に」
ふわり、と笑う気配。
「あ」
なんだか空気がいつもと違う。
あたしは慌てたように立ち上がった。
「あたしのバッグは?」
「え? そこに置いといたけど…どうするの?」
「帰るのよ」
熱い手が、あたしの腕を掴んだ。
「駄目、って僕が言ったら、帰らないでいてくれる?」
「風祭ぃ〜」
困った。
「それに今帰っても、終電ないよ」
ぐいっと引っ張られて、あたしは風祭の横に戻ってしまった。
だってこいつの力、けっこう強いもの。
大きな手が、腕から離れたかと思うとあたしの手を握ってくる。
「今夜は泊まって」
「風祭…いくらなんでもそれはやばいって」
あたし達がいくら友達だって言っても、きっと周囲は信じてくれないぞ。
オトコとオンナが一つ屋根の下で一泊したら、いろいろ言われるに決まってる。
しかも風祭は天下のJリーガー(汗)。
「まずくないって…僕は、その」
ここで一度切って、風祭はあたしを見つめた、
「その方が、すごく嬉しい」
「な、なに言って…っ」
あたしの言葉を最後まで聞かないで、風祭はその言葉を言った。
「僕は、ずっと前から、さん………ううん、さんが、好きだ」
あたしの体の中のアルコールが、一気に冷めて、また体の中を熱く駆け巡った。
続く
2002・04・07 UP
いや、萌笛夢サイト様が閉鎖されてしまった反動か、最近もっぱらロムラーですが回せていただいているんですよ。
笛サイト。
けど、やっぱ主人公はないね! って思ったら思いついちゃいました。
(今のところ読んだことないんさ。オイラ←なぜ、なまる)
風祭未来ドリーム!!
この子は御買い得だと思うんですがどーでしょうか、皆さん。
で。
どこぞに美味しい風祭将くんドリームがございましたらそっとオイラに連絡を!!
ブラウザで戻ってや!
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