彼と彼女の初めてのデート
と、いうわけで。
あたし、は須釜くんといわゆる一つのお付き合いをすることになった。
……だってね、あの男。
あの体格で迫ってくるの。
「付き合わないって言ったら判ってるよね」っていう顔で笑いかけてくるもんだから、OKしちゃったよ。
けど、あたしのこれは恋愛感情なんかじゃないと思う。
うんって言わないと何されるかわかんなかったの。
同じ中学生で見れないもの、須釜くんは。
反則。ってーか、レッドカードで退場すべきだと思うのよ、あの体格。
「付き合ってるなら、いいよね」
そう言って、あたしを抱きしめて。
それで、その頬に手をかけてきて顔が近づいてくるからあたしは思わず自分の手で唇をかばった。
判ってるのに。
須釜くんはあたしが唇をかばっているのを判ってて、手に柔らかい感触を当ててきて、目はちょっと鋭くしてあたしを見てる。
「、さん?」
「あたしね、自分を大事にしたいのよ」
「…大事にするよ〜、僕」
「ってーか、こんな埃っぽい場所がファーストキスの場所っていやっ」
そう言ったら、須釜くんの目が丸くなって。
「だって、だってそうでしょ? 告白されてすぐって言うのは、その、なに? 男にとってはいいかもしれなけどこっちには心の準備ってーのも必要でしょ? ファーストキスなのよ、ファーストキス!」
夕暮れ時の遊園地(観覧車の中)とか、海の見える夜景とか、そういう場所で好きな人とって決めてんのよ。
それをここで、埃っぽい場所で失うのはいや。
あたしはそういう面では夢を見てたいのよ!
きっぱり。
はっきり。
こう言うと、爆笑しながら須釜くんはあたしの背中を優しく叩いて、それでもあたしを離そうとしなくて抱きしめる力が強くなる。
「ハッ、……さいこー…本当、さん……ッ」
「ちょっと聞いてる? 須釜くん」
「き、聞いて、るっ」
しばらく笑いながらも、須釜くんはあたしを離さなかった。
で、今日は初デート。
須釜くんはなんとか選抜で忙しいから、そうそう一緒に遊べないけれども、一応の御付き合いは…してると思う。
一緒に登下校して(迎えに来るのよ、須釜くんが)、一緒にお昼食べて。
時々、彼がいきなり抱きついてきたり、手をつなごうとしてくる以外は、今までと同じ。
…焦れたような視線をよこして来るのは、たぶん、気のせいではないとは思うけど。
それはあたしが恋人扱いしないから、かな?
友達の、延長だもんね。
あたしからは、そうそう手をつなごう、とかしないし。
「待った〜?」
「ううん」
「で、今日はどこ行くの?」
「遊園地v」
手をとるのは須釜くんが先。
笑顔を見せるのはいつも、須釜くん。
それが判ったとき、なんとなく、ずきん、と胸に痛みが走ったのは、事実。
遊園地は本当に久々に楽しめた。
きゃーきゃー言う柄じゃないけど、ジェットコースター系はやっぱり好きv
夕暮れ時に、須釜くんが「じゃ、ラストv」と言って観覧車に乗ったまではすごく楽しめました。
そう、観覧車。
観覧車=密室。
その図式が頭をよぎったのは、乗ってからで。
(まあ、それまでは須釜くんといろんなことを話したのよね)
「」
いきなり名前を呼ばれて、あたしは須釜クンのほうを見た。
真剣な、眼差しに心臓がどきっとする。
もしかして、あたしってば、結構、彼のこと。
好き?
「まだ、僕のこと、意識しない?」
恋人、として。
彼氏として意識しない?
そう言われて、あたしの頬はかああっと紅くなったと思う。
「…良かった…」
なんにも言わないのに、安心したような須釜クンの顔。
須釜クンの腕が伸びて、指が伸びて、頬に触る。
「、僕のこと、もう友達としてみてないよねv」
ううん、友達だよ。
そう言おうとしたけど、口はそうは動かなくて。
気が付けば、あたしの唇は須釜くんのにふさがれてた。
「の夢を現実化させて見ました〜v」
僕って彼女に尽くすいい男でしょ〜と、言われて気が付いたのは、一つも風景を見れなかったのに観覧車が一回りして地上に帰ってきたときのこと。
締めくくりに。
あたしの唇と。
あたしの心が奪われた。
なんて思ったデートでした。
終わってしまえ
素材拝借先は空に咲く花様/アイコン素材先は閉鎖しております。お名前はわかりかねます。
2002・05・03 UP
なんてなー(笑)。
須釜くんはオイラから見ればこんな感じです。
きっとなんだかんだ言ってもこの人は自分の好きな女の子はがっちり離さないだろうと思って。
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