6月28日(あるいは6月27日から)

(3)


教師の公開リンチは電話で呼び出された泉谷万騎にとっては、死者を出すことのない5番目に良い結果となって悪質なカツアゲ集団と、その被害者達の一件を終着させた。

加害者と被害者を逆転しただけで、根本的な解決にはならないのではないかと思った風紀委員に、慶一郎は苦笑する。

「そう心配することもないと思うがな」

そ言葉通り、悪質なカツアゲを繰り返していた少年達を取り囲んで暴行を加えていた、かつての被害者達は徹底的に痛めつけた相手を気の抜けた表情で見ていた。

「殴るだけ殴ったら飽きちゃったよ」

縁を切りたいだけで、誰もが暴力を振るうのが好きではない。

すっきりしたけれど、むなしいという感想を述べる少年達に万騎は複雑そうな表情を見せ、慶一郎は満足そうに頷いた。

万騎はそんな慶一郎に話しかけた。

「南雲先生にお伺いしたいことがあるんですが…先月この公園のすぐ近くでバイパーズチーム<ブラックチェンバー>が何者かと戦って壊滅したという事件があったのをご存知ですか?」

よく知っていた。

それは慶一郎が行ったことだからだ。

「あぁ、そんなころもあったかな」

「メンバーは全員、利き腕の拳と足首と顎を砕かれ、二度と喧嘩のできない身体にされたと聞いています。こんなことができるのはどんな人間だと思いますか?」

「決まってるだろ。悪党を見ると殴らずにはいられない男さ」

「その男の行為は正義に基づいていたとは信じられますか?」

「じゃあ、聞くがな、泉谷…正義ってのはそんなに大事なもんか?」

慶一郎はそのまま確信に満ちた口調で言う。

「人間は神様じゃないから、自分の目で見える範囲でしか物事を判断できん。だから、その場その場で自分が正しいと思ったことを実行するしかないのさ」

沈黙した彼の横を通り過ぎると、疲れの見え始めた少年たちに号令する。

「よーし、そこまで! 速やかに撤収!!」

彼らの後始末をして、買い物袋を吊り下げた慶一郎を待っていたのはだった。

「おかえりなさい」

「ただいま」








これにて原作小説四巻目終了でーす。
原作を知らない人の為に追加しました。詳細部分を知りたい方は是非に原作をお読みください。(笑)

この話、中学当時のナグモンの行動も結構出てきます。
金属バットとか道具を使って、究極のお仕置き『鋼鉄の処女』
(掃除入れとかの縦長のロッカーに人間ぶち込んで開きを叩いて潰して外側からも内側からもあけれなくする)。
理由を言わずにナグモン主観からの正義に反した人間を「ごめんなさい」を言うまでぶん殴る。(教師・生徒含む)
中学時代、担任の先生以外全員殴ってるってどんだけー。(苦笑)
あと、ナグモンの当時の担任の先生、結構いい味出してます。こんな先生が担任でよかった、と思うのは本当大人になってから、だと思うけど。
今でいうと相/棒の右/京さんが年齢を重ねた姿、とか連想しちゃいます。

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