R.O.D//:stigmata
その瞬間、俺の世界が凍り付いた。
目が覚めると、何故か門のあたりが騒がしい事に気付いた。
殺気は感じられないが…何事だ?
「何かあったのか?」
「あ、和麻様。それが…」
人込みの中にいた操がこっちをむく。
「おねーちゃん、ぱぱのおともだち?」
そこには4、5歳位の男の子がいた。
…まて。今、この子何て言った?
「俺は男だ」
「ほんと?」
首をかしげて俺をみる男の子。
「ねぇ僕?ここにはどんなご用事で来たの?」
操が間に入る。
「ぱぱにあいにきたの」
その『ぱぱ』が、まさかさんだったなんて。
さんが、男の子を抱き上げる。
笑顔で会話している。
自分の中の何かが、音を立てて崩れていく気がした。
気がつくと、畳間に座っていた。
操が激怒しているのが判る。
男の子はさんに「おにわみてきてもいい?」と聞くと、そのまま庭に駆けて行った。
・・・あまり、さんに似ていない。
奥さん似、なのだろうか。
「あいつは、俺の息子だ。」
さんが、操の問いかけに断言する。
あちゃー、言うの忘れてた。
そんな顔をしている。
「すまん、隠していたつもりはなかったんだが」
ほら、やっぱり。
聞きたくない。
出来る事ならこの場から逃げ出したい。
そう思っているのに。
俺の口から勝手に言葉が飛び出した。
「・・・母親、は」
「お前も会った事があるだろう?読子だよ。第16代ザ・ペーパーの」
「あの人、ですか・・・」
読子・リードマンさん。
大英図書館特殊工作部のエージェントで、紙使いの中でも最強と呼ばれる人。
最近仕事で一緒に行動したばかりだ。
ちょっと変わってるけど・・・綺麗な、人だった。
あの人が、さんの・・・
「しかし、様。ご結婚されて奥様やお子様までいたとは、我々の情報網でも少しも」
兵衛さんの困惑した声がそこに混じる。
確かにそうだ。その辺は俺も調べたが、何一つ出てこなかった。
そこまでして隠したいことだったのだろうか。
「何か勘違いしてないか?お前ら」
「何ですか?勘違いって」
操・・・怖い。
「確かに洸は俺の息子だが、血の繋がりはないし、今の所妻はいねぇぞ」
「へ?」
我ながら間の抜けた声だったと思う。
「あー。すまん、俺の言い方が不味かったか」
そう言うと、さんは少し悲しげな顔をして、話し始めた。
ドニーさんとの出会い。
読子さんを紹介された時の驚き。
そして、唐突な別れ。
話が進むにつれ、さんの顔から、表情が消えていく。
本当に、大切な友人だったのだろう。ドニーさんは。
凄腕のザ・ペーパー。名前だけは知っていた。会ってみたかった、と思った。
洸くんが、生まれた経緯を聞いて。組織の奴らに殺意を覚えた。
隠して生きているとはいえ、俺も女性だ。同じ目にあったら、きっと耐えられない。
さんは洸くんに向かって、近くの紙で適当に折った紙飛行機を飛ばした。
洸くんは目を輝かせながら紙飛行機を追いかけている。
どこからどうみても普通の子供の洸くん。
重い出生の秘密を負わされた、洸くん。
さんは、少しでも洸くんと読子さんが、楽に生きられるようにしたかったんだろう。
本当に、この人は、優しすぎる。
「悪かった。本当に隠すつもりはなかったんだ」
頭を下げたさん。
恥ずかしい、と思った。
責めるような態度を取ってしまった自分が。
挙句、こんな、さんにとって辛いであろう話をさせてしまった自分が。
とても、恥ずかしくて、情けなかった。
「俺の方こそ、事情も知らず、勝手なことを言ってすみません」
俺も一真さんに頭を下げる。
「申し訳ありません、様」
操も俺にならって頭を下げる。
「二人とも、頭上げてくれ。悪いのは俺なんだから」
あたふたするさん。
「・・・しかし、様。一つお伺いして宜しいですか?」
「んー?なんだ、兵衛さん」
「なぜ、洸様の事が情報として出てこなかったのでしょうか?」
「あー」
頭をぽりぽりとかくさん。
「多分アレだ、洸の事は一応トップ・シークレットだから。大英図書館の。誕生にグーテンベルク・ペーパーが関わってる可能性もあるらしいし。洸の奴、自分がどれだけVIPなのかいまいち良く判ってないみたいだしなー。」
だからあまり一人で出歩いて欲しくないんだよなー。とさん。
って。
『グーテンベルク・ペーパー!?』
「んー?なんだ、皆して」
「か、か、様。グーテンベルク・ペーパーとは、もしや、」
「お?流石兵衛さん。知ってるのか?」
「知ってるも何も!有名な魔術書じゃないですか!」
「本当に実在したのか・・・」
「和麻も操ちゃんも博識だなー。」
感心感心。
そんなのほほんとした感じのさん。
「のほほんとしてる場合ですか!グーテンベルク・ペーパーといえば、読み解けば不老不死を得られると言われている程のもの、洸くんの命が狙われる可能性も」
「あー、落ち着け和麻。その点についてはこれっぽっちも心配ない」
「どういう事ですかな?様」
「まー、見てろよ」
さんはサンダルを履いて庭に降りると、いきなり洸くんに向かって技を繰り出した。
【刃拳】!!
「な、何をなさるのですか様!?」
「操ちゃん、良く見てみろよ」
その場には。
洸くんを守るかの様に紙の盾が出来ていた。
「ぱぱ?」
「おー悪い、驚いたか?」
「ううん。おはなしもうおわり?」
「あー、もうちょっとだ」
「はぁい」
さんは紙の盾の中から1枚とり、また紙飛行機を作って飛ばした。
すると、他の紙達も同じ形になり、編隊を作って空を舞う。
洸くんは目を輝かせ、紙飛行機をまた追いかけ始めた。
「と、言う訳だ。たとえどんな攻撃でも紙達が、いや、洸の場合紙だけじゃないな。本達までもが洸を守ろうとするんだ。洸は、まさに『本に愛されて生まれてきた』んだ」
そんじょそこらの奴に、どうこう出来るもんじゃねえ。
そう言って笑うさん。
さんのさっきの一撃は、本気だった。
それを受けても驚きもしない洸くん。
「血はどうあれ、間違いなく様のお子様じゃな・・・」
兵衛さんの言葉に、俺と操は深くうなずいた。
2009.01.10 UP
リア様から頂きました!
ありがとう、本当にありがとうリア様!!(感涙)
さん、こうしてみるといいお父さんになるそうだよね…きっとぽろっと「結婚できないかもしれないけど(するつもりもあんまりないけど)、子供は欲しいかなぁ」とか言いそう。
そしてそのあと洸くんに「ぱぱ。ぼくいもうとがほしい」とか言われて女性陣が燃え上がればいい。
子供の洸くんの名前変換が出来ません。
また、洸くんはオリジナル設定で原作には出てきません。ご了承ください。
ご了承ください。
ブラウザバックでお戻りください
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