超短編/Fate


------ ライダー -----





縁側に並ぶ二つの影。随伴するは一本の酒と、二つの杯。

、有難うございました」

「何が?」

「桜を救ってもらって」

は、そんなことかといって、酒の入った杯を空ける。

「我を通しただけさ」

空の杯をライダーに持たせ、酒を注ぐ。

「その我のおかげで、桜は救われました。なのに私は、何も出来なかった」

ライダーは、杯に注がれた酒に映る月に視線を落とす。

「ばぁ〜か。何にも出来なかったことはないだろ。桜は、ライダーがそばにいただけで救われてるさ。人は一人で生きていけるほど強くない。お前も知ってるだろ?」

の言葉を飲み込むように、杯の酒をぐっと飲む。

「そうですね」

目を閉じると思い出される過去。瞼の裏には、二人の姉が映し出される。

「そうです。そうでした」

空の杯に、再び酒が注がれた。何杯目かは、もう覚えていない。

、こんなに飲んでしまうと酔ってしまいます」

「たまにはそんな夜もいいさ」

そういって、は自分の杯に酒を注ぐ。



振り返ると重ねられるは唇。流し込まれるは寒露の液体(酒)。口の中の全てを渡すように深く交わる。

のせいで、今夜は一人寝が淋しくなりそうです」

「淋しくない様にしてやろか?」

「お願いします」

月夜の元で二つの影が交じり合う。

2009.01.10 UP



------ 衛宮 志保 -----






俺は、さんの背中に憧れた。

お袋の言ってた「正義の味方」を見た気がしたから。

それを言うと、さんは笑って答える。

「ばぁか、俺はそんな立派なモンじゃないさ。ただ、我を通したいだけさ」

その後に言葉を続ける。

「好き勝手に生きたいだけだ」

その言葉の中には、別の言葉を見たような気がした。

彼は、すべては無理だとわかってるのだろう。

だから、せめて自分の大切なものを手の届く範囲では守りたいのだろう。

「志保。一人で、すべてを背負い込むな。一人では限界がある。だから周りを頼れ。支えてくれる皆がいる。それが、仲間だろ」

気が付いたら、俺は彼の背中に抱きついていた。

彼に近づきたい。

少しでもいいから知りたい。

彼の背中に顔をうずめる。

ああ、男の匂いがする。

自分が、女なんだと自覚させられる。

この人に抱かれたいと思っている。

体に、魂に彼を刻みたい。

さん・・・・俺を抱いてくれ」

俺の腕を解き、彼が俺の瞳をみる。

「俺なんかで良いのか?」

これ以上、女の俺に恥ずかしいことを言わせないで欲しい。

返事の代わりに、少しずつ顔を近づけて、俺は目をつぶる。

「据え膳食わぬは男の恥ってか?」


二つの影が、深く交わるまで後少し。


来たーー!! 原作主人公女の子化です!! ありがとうございます。

2009.01.10 UP



------ アーチャー ------






「俺は、お前みたいに全てを助けようなんて崇高な物は持っていない」

「なら、何で立ち上がるの」

叫び、対峙するは、凛のサーバント・アーチャー(女)。アチャ子とでも呼べば良いのだろうか?

白銀の腰まで伸びた長い髪の毛により、褐色の肌が映える。高くそびえる二つの山が、黒のボディースーツで強調され押し上がっている。

凛が、「コノ双子山メ」と睨んでいたのは記憶に新しい。

「俺が俺である為、我を通すためだ」

口元の血をぬぐい、頬に血で線を引く。

「それに、こんな喧嘩めったにできやしねぇしな」

アーチャーに対して、構えなおす。

そして、彼女は思いだす。

は、何処までも自分に正直で純粋なんだと。

それをあの初めての夜に、体と魂に刻んでもらったはずなのに。

「一つだけ聞かせて。その中に私は入ってるの?」

「あたりまえだろ。だから、おまえ自身が信じている道を進んでいようが、俺が元の道に叩き戻してやる。それにいったはずだ・・・・・」

次の言葉が、の声が、アーチャーの魂を揺さぶる。

「一人で、すべてを背負い込むな。一人では限界がある。だから周りを頼れ。支えてくれる皆がいる。それが、仲間だろ。なぁ、志保」

気が付いたら、の胸に飛び込んでいた。

「ずっと・・・・・・」

の胸に顔を埋める。


「ずっとここに帰りたかった」


突然のことに固まるに唇を重ねる。

「また、私にあなたを深く刻んでください」

そういいながら、を脱がせながら自分も脱ぐ。

「いや、普通は逆で俺が脱がし・・・・・って違う」

「据え膳を食わぬは男の恥・・・でしょ」

「もう、なるようになれ」

遠き時を経て、めぐり合い交わる影。

アチャ子いただきました!! むはーー!! 脱がされてる(笑)!!
ありがとうございます!!


2009.01.17 UP

息抜きSSとして、と拍手で冬眠様より頂きました!! 
ありがとう! まさかのFateシリーズ!!
いやもう、ばんばんOKですよ!!

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