ばしゃり、と水をかけられて私は瞬きを繰り返した。
「だ、大丈夫? ちゃん…」
おろおろと私に聞く日向ヒナタとかっと顔を紅くして「こら〜〜〜!」とどなるのは山中いの。
そして春野サクラも「あの子らっ」と怒っているが…。
「サスケくんに近づかないことね!!」
真上から聞こえたその声に「あぁ」と私は納得した。
「…言いたいことは山中さんたちと同じだったな」
「「違うわよ!」」
水を滴らせて言う私に二人は声をそろえろえたので思わず「仲がいいな」と言うと「「そういう場合じゃない!!」」と再び怒られ、ヒナタにまた慌てられた。
保健室でぐっしょりとぬれた上着を脱いで下着姿になると、保険医から渡されたバスタオルを頭からかぶる。
…水の精霊達と交渉するか、炎の精霊達を呼びかけて水分だけをとるとかそういう類の小技も出来るのだが、人目があるのでそれができない。
いのとサクラの二人は、私がされた行為をイルカ先生に伝えに行き、私の傍には今ヒナタがいる。
保険医が豪快な人間で、ジュースをおごってくれるというので座って待っているのだ。
いのとサクラとヒナタの三人と一緒の掃除中のことだった。
いのとサクラは遠まわしにサスケの傍にどうやって近づけるのか、羨ましいなどと訴えられ、ヒナタはどうやったら男子と話せるのか聞いてきた。
そんな中、上の階の窓から水が振ってきた。
いつもの私なら避けるところだがいのとサクラの意外な言葉に動きを止めてしまったからだ。
「さんはサスケくんのことが好きなの? それともナルト?!」という意外な言葉を聞いたからだ。
私は周囲からそう見られているのか? と思いヒナタを見つめ、そして彼女もまた興味深そうに私を見つめていたので動作が遅れた。
後でに聞いた話だとヒナタはナルトのことが好きらしい。
ちなみには今はいない。
ナルトに連れられて悪戯したせいで一緒にイルカ先生に叱られているはず。
……どっちにしろ私には縁のない話だ。
サスケは知人でありクラスメートで友達まで至っていないかもしれないし、ナルトは私が一方的なのだが親友と自負している。
愛していてもそれは友愛であって恋愛ではない。
と、言ったところで恋する乙女達は納得するだろうか? いや、しない。(反語)
ふむ、と思う。
「ちゃん、大丈夫?」
ヒナタはおずおずとそう聞いてきた。
「あぁ、大丈夫」
そうバスタオルを頭にかぶったまま言うと「きゃ!」と恥ずかしそうに顔を紅くし、声を上げた。
「?」
「そ、その服をきて、なかったから…! は、はずかしく、ない?」
…いや、まったく。
「裸ってわけじゃないし…別に?」
子供であり同性同士なのに恥ずかしいわけない。
それなのにヒナタは顔を紅くして慌て、そしてもう一枚バスタオルを持ってくると私にかけてくる。
い、いや二枚かぶったところで…と彼女に言うのも、なにか。
「替えの服、ないか先生に聞いてくるっ」
「え、いいよ。なら私が聞きに…」
「だめ! ちゃんは部屋からでちゃだめ!」
ぴしゃりと言われて「ああ」と頷き、そんな私に満足したのかヒナタは出て行った。
…なんだったんだ、今のは。
かけられたバスタオルを一枚引き剥がして、もう一枚を首にかけた。
どこぞの親父のような格好だが仕方がない。
「さーん、いるー?」
「あぁ」
サクラの言葉に私は返事を返す。
ひょっこり顔を出したサクラもまた顔を紅くした。
「さん、前! 前かくして! 下着見えてるから!」
「いや、別に同性同士だしね」
しかもガキのはだけた姿を見て欲情するバカはいまい。
しかも一応ささやかな胸を隠すブラもつけてはいるから見えないしなんでこんなことを彼女達は気にするんだろう?
「いいから!」
くわーしゃーんなろーー!! という幻影が見えた気がした。
こういう場合は反論しないほうが賢明だろう。
私はもう一枚のバスタオルで胸を隠した。
その後すぐにヒナタが服を借りてきてくれて、いのが私の鞄を持ってきてくれた上にを連れてきてくれた。
保険医がそこにやってきてくれて四人と一匹が円陣を組んで、今回のことについてはとりあえず先生から現状注意で相手を叱ってもらったけれどきっと謝ってはこない、という話から恋愛話になり、そしてさらには私には羞恥心がないという話にまで発展した。
一応恋愛話には否定はしておいた。
…。
後日、サスケとナルトのことはあるがとりあえず三人と仲良くなった気がする。
主に私の情操面でそれは見られる、とが家でしみじみとに報告していたのがなぜかむかついた。
繋がり、連なり、そして輪になる
なんだかんだ言いつつこの三人は世話焼きだと思う。
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