ちゃーん、いるー?」

「はい」

いい時間帯に風呂の用意を整え、買い置きしていたインスタントの用意をすべきかと思っていた時間帯にその声がやってきた。

玄関先から聞こえてくる声に子供のドラゴンが顔をしかめる。

毎回そうだが、がいなくなると誰かが来る。

監視の役割もあるんだろう。

以前はがこの家を留守にしているとき、何人かが監視に来た。

私という子供を引き取ったの真意を量ることと、上忍たちの一部は私の能力である『魔法』はどうやって身に付けたのかを。

あまり魔法を使うことを良しとしなかった私は好きにさせていたのだが、それに気がついたはいい笑顔を作った。

全員返り討ち、というか痛い目を見せて帰らせた挙句三代目と暗部のトップに脅しをかけて監視はとかせたようだが、時折こうして上忍の誰かはふらりとやってくるのだ。

のいないときを見計らった今日の訪問者は、銀髪の男だった。

顔の大部分を覆面で隠したその男は、片目だけで笑みを作る。

様からの伝言だよ。今夜は帰れないからって」

「…わざわざありがとうございました」

棒読みで礼を言う。
・ ・ ・ ・ ・
こいつ、誰だ。

「あぁ、良ければ晩飯をおごれって言われてんだけれど、食べに行かない?」

私はそっとに目配せをする。

「ぎゃわ(怪しさ大爆発だな、おい)」

は小さくそう言いつつ私の背中に乗った。

…まぁ、いいか。

契約した精霊たちとの魔法も実践してみたかったし、暗黒魔術も使ってみたい頃合でもあった。

ちょうどいい的が出来たと思えば、それもいいか。

内心そう思っていたそのときだった。

「お前、誰?」

「!!」

銀髪の男とまったく同じ声、そして同じ顔の人間がクナイを首筋につきつけていた。

「どちらがはたけさんですか」

「判ってるくせに言うもんじゃないぜ、

顎鬚がトレードマークの男の声に、ざっと玄関を限界まで開く。

「っ!」

「逃がさないよー」

瞬身の術で二人のはたけカカシがいなくなる。

「ぎゅわ(行く)?」

「あぁ」

私は戸締りをする。

「おい、?」

「木の葉の忍びか、そうでないのか少し興味があります」

私は返事を待たずに家を出た。

授業で習ったチャクラを脚に集中させ、そして走り出した。

「アカデミー生では早いな」

ナルトに鍛えられているから、という言葉の代わりにちらりと余裕で走る上忍を見る。

彼の名前は猿飛アスマ。

書類上では、私の親戚に当たる人だ。

私は無言で走り出した。

小さく聞こえる金属音に眉をひそめる。

「木の葉の人間ではなさそう、ですね」

足を止めると二人のカカシさんが戦いあっていた。

「面倒ですね」

「あぁ、まぁな」

「どちらが本物でしょう」

「勝った方がカカシってとこだ」

それでは勝つまで待たないといけないのだろうか? いや、そういうことではないだろう。

さっさと沈めてしまえばいいのだ、両方とも。

「周囲に人は?」

「…いや、まぁ、今のところ誰も…」

それだけ聞ければ十分だ。

試したい魔術ではないけれど、仕方がない。
 
 タイ ・ トロー  アンセム
光弾よ敵を撃て 鋼雷破弾

           
アンセム
光の精霊魔術、『鋼雷破弾』を加減して放つ。

いくつも弾が生まれそうになるのを二つに集中し、さらに威力をけずった上でそれを放った。

二つの光の弾はまっすぐに二人のカカシに追いつくと、その身体に自らを叩き込む。

ズドム、といういい音が二つ響いた。

「ぎゃわ!(よし、命中!)」

「っ!」

「大丈夫、どちらも殺していません」

このぐらいの魔術の手加減も出来ないでどうする。

身体のほうも、今のところ不調はない。

よし。

「ひ、ひど、いんですけど」

カカシが涙目になりながら私を見上げた。

「恨むなら自分に変化したそこの人を恨んでください」

それに手加減してあるし、殺されないだけましだろうに。

しかし丈夫だな。気絶させるつもりで放ったはずだけどもうちょっと強めにしたほうが良かったのか。

本物の傍に倒れこんで、こちらもげはげは言っている忍者に視線を落す。

アスマが手早く身柄を拘束して、簡単に死なないように縛り上げた。

「何が目的で近づいたのか知りませんが、情報不足でしたね」

「ぐ…っ」

呻くその男は額宛をしていなかった。

隠して持っているのか。

「木の葉の人間ですか?」

「い、いやたぶん違うと思うよ」

「そうですか」

カカシの言葉に私の興味はそこで尽きた。

のことでも聞きに来たかあるいは彼の弱みと見られる私を拉致しに来たのでしょうが…うかつでしたね」

かわいそうな子を見るような生暖かい視線を送ってしまう。

が遅くなるときは、影分身を仕事にやらせて自分は帰ってくるか、あるいは自分の口から遅くなることを告げに来ます。絶対に私に他人と食事をしろとは言わない」



無駄口を叩くな、ということらしい。

アスマの言葉に私は小首をかしげた。

「いや、どうせその人には次はありませんから」

ことを知ったらがそこの人の心臓を貰い受ける。

そういう男だ。

私は二人の返事を待たなかった。

「帰ります」

くるりと背中を向けた。

「カカシ」

「ちょ、待って。俺が一緒に帰るから。アスマ」

「あぁ」

まるで子供を心配する大人のような口調でカカシが慌てながら、腹部をさすりながら私に追いつく。

月が私と、そしてカカシの影を伸ばした。

心配されなくても今の私は彼らよりも強い。

少なくとも一度は殺せる。

けれど…それは口にはできなかった。


『法』『道徳』『世間体』 何の壁にもなりゃしない
そこまで教えてやる義理はない。


ブラウザバックでお戻りください

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送