「違い・差がある2人 10のお題」

身長


「あんた、何食ってそんなにでかくなったわけ?」

「あぁ?」

テニスコートの側でクールダウンしていた奴に俺は声をかけた。

同じ12歳のくせして、頭一つ分俺たちよりでかいしその上かなり腕っ節も強い。

アメリカでも見たことがない格闘技の使い手ってことはわかったけど。

あんまり自分の事を話さないくせして、それでいて助けて欲しいときは助けてくれる存在。

ムカつくというか、なんというか。

最近判ったのは、義理の弟(血はつながってないんだってさ)と一緒に暮らせてそいつも喜んでること。

俺のほか、一緒に住んでる連中の面倒をそれとなく見て、そして護ってくれてること。

…自分が「悪」だと思ったら上級生だろうが大人だろうが、こいつには全く関係ないってこと。

俺の言葉にそいつは小首をかしげた。

はっきり言えば可愛くない。

「…何食ってって…別に普通なもんだが」

普通なものは俺だって口にしてるよ。

「…まあ、成長期なんだからお前らもすぐ伸びる。俺はきっとこの身長のままだがな」

「あんただって成長期だろ」

そう言うと、「まぁそうだが」とか言いながら汗をタオルでぬぐう。

テニス部の手塚部長も見てくれが異様に老けてるけれど、こいつの方が老けてると思うね。

顔の作りじゃなくて、なんというか雰囲気とか考え方とか。

「気にしてると伸びるもんも伸びねーぞ」

こうやって俺の頭を撫でる時とか。

俺はなんか悔しくなって。

視線をそらした。

同い年の癖して、俺より大人で。

俺よりも身長高くて。

なんか、むかつく。


「…とっとと伸びてあんたを見下ろす」

「…乾とかいう先輩並になる気か? 子猫」

…俺のことをネコ扱い(しかも子猫)するのも今のうちだって覚えときなよ。

俺は帽子を被りなおして「別に」というと背を向けた。

今日から、牛乳のほかにもカルシウムとろうと思う。



俺とあんたの差、一番俺自身が気にしてるのは老けた考えとか子供扱いとかじゃなくて。

…その『身長』。

それだけなんだからな。


逆行生徒/主人公と越前リョーマ
ブラウザでお戻りください。

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送