「違い・差がある2人 10のお題」

趣味


「あれ…あいつじゃないかな」

部活が終って、さて何か食べに行こうか? と英二に言われて、なんとなく三年で固まって歩いていたら喫茶店でよく見た後輩の姿を見た。

今年の一年でのレギュラーである越前、ミスクドメンバーとしてレギュラー入りした天野、女子テニス部の一員でミスクドメンバーとして男子の練習に参加している小鷹。

この三人と同じ一年なのに、テニス部が関わったある事件の首謀者達を文字通り殲滅した一年。

一年生の癖して、上級生に敬語を使わないのだけれども、それが似合ってしまうからたちが悪い男子だった。

「すげぇ、美人じゃん」

英二の言葉に僕も頷いた。

なんていうかこんなに美人は産まれて初めて見たって感じの人だ。

そんな彼女と向き合う形で、その一年男子は平然と何か言い返し、頷き、そして立ち上がった。

「わ、出てくるよ」

「僕達は別に何も悪いことしていないから逃げなくても大丈夫だよ」

大石がそう言いながら自分の背中に隠れた英二に声をかけた。

どうやら会計を済ませた二人は出口にやってくる。

「…俺が払うって言ったろう」

「中学生におごられるのをあたしはよしとしないわ」

「こういうときだけ子ども扱いなんて、いい根性してるよ」

「褒めてる?」

「そう考えといてくれ」

とても甘い関係じゃない会話が聞こえてきたかと思うと、二人が出てきた。

あ、目があっちゃった。

女の人は微笑を浮かべて、俺達を見てくれてからそして離れていく。

「じゃあね」

「あぁ」

さよならともまた会おうとも言わない乾いた別れ方。

「な、な、なぁっ、い、今の人誰?」

英二が思い切って聞いてる。

「…君の恋人か何か?」

乾の言葉に、彼は目を丸くし、そしてまるで信じられないものを見たようにまじまじと見つめる。

こんな、反応初めてだ。

「…お前達は、本当に時折恐ろしいことを口にするな」

しみじみと言われ、そして苦笑する。

「期待に添えなくて悪いが、あの女は俺の趣味じゃない」

「え、えーっ! だって美人さんじゃん! 何が不満なのー?!」

英二の言葉にうなじをかきながら、その子は言った。

「見てくれよくても、なぁ…」

例えばの話、と続けた。

「原酒(モルト)…っと未成年にアルコールの話しても仕方ない。お前達、カルピス飲む時原液そのまま飲むか?」

「飲まないね」

乾の言葉に「そういうことだ」と彼は言った。

そういうことって…。

「性格がきついとか…そういうこと?」

「…そういう風に考えとけ。…あの女の恋人(おとこ)になるやつは苦労する。俺はそれに立候補するつもりはない」

僕の言葉にそう言ってから、ふっと笑う。

「あの女に必要なのは対等の存在じゃない。よくできる有能な下僕だ」

「げ、下僕?!」

大石が目を丸くして、彼は笑った。

「本人がそう言ってるしなぁ」

「何やってる人か聞いていい?」

僕の言葉に彼は薄く笑った。

「…正義の味方、な警察官だ」

ちょっとそれ…警察官としても大丈夫なんだろうか?

「ますますもって、俺の趣味じゃない」

そう呟いた彼に、じゃあ、好みは?と続けられるほど僕達は聞きたがりじゃない。

それに…。

「あんなに美人で、優しそうなのに」

そう。

彼にここまで言われる性格の、しかも警察官って…!

それでいいの? 日本の警察は、とか考え込んで話を続けられなかったからだ。



逆行生徒/主人公と三年レギュラーの大半と。
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何気にお題に沿ってないような話だけど気にしちゃいけない。

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