2・瞳に移る貴方の姿/「貴方の虜 10のお題」




「マジュニア、俺の相手をしてもらおうか」

「死ぬぞ、貴様」

「そっくりそのまま返してやる」

それがこの男との修行の出だしだった。



ぼろぼろになった孫悟空の息子を見下ろしながら、俺はかちりかちりという微妙な音を立たせている奴が気になり目を向けた。

孫悟空の義理の兄。

文珠と呼ばれる稀有な能力使いのこの男の戦闘能力は、今の俺と同等ぐらいだ。

かちん、という何か押した音と共に、黒い箱から電波が通信されていくのを感じる。

ふらりと数日前にどこかに行ったと思ったら、カプセルを数個持って来て修行し始めている。

「何だ、それは」

「仕事だ」

即答され、俺は静かにこいつをにらむ。

「ふぁああああ」

孫悟空の息子のように大きく欠伸をすると、黒い箱をカプセルに戻してごろりと横になった。

あまりにも無防備に。

「貴様、何を考えている」

「少なくとも悟空が来るまでサイヤ人をぶちのめしておくにはどうするかとか仕事とか家族のこととか自分のふがいなさとかてんこ盛りだがどれから聞きたい?」

一息でそう吐かれた言葉に、俺は眉を寄せる。

こいつはいつもそうだ。

「勝てるか? 今のお前で」

「…手段を選ばなかったら、なんとか道連れにできるかもな」

さらりとその言葉が出たので、俺は奴を見つめた。

そいつも俺を見ていた。

お互いの瞳に、お互いの姿が写っている。

「だが、それをやっちまったら悟空と悟飯にうらまれるんだがなぁ、どうしたもんか」

こいつは、その手段とやらをするつもりだ。

俺はなぜかそのとき、確信した。

「止めろといって、止めるのか?」

「いいや」

即答して、そいつは俺がうつっていた瞳を閉じる。

俺も、孫悟空の息子に眼をやってから、そして閉じた。

「…手段はなんだ」

「妹の命だ」

その問いに目を見開き、また奴を見つめた。

そいつはもう、俺を見ていなかった。







しばらくした後、またもふらりと居なくなったそいつが決戦の場に連れてきたのは。

孫悟空の妻で、悟飯の母親だった。

「お、かぁ、さん?」

感情を一切顔に出さない彼女に向って、そいつは文珠を繰り出しながらこう言った。

「やるぞ」

躊躇いもなく、そいつはそう言い放ち、俺はその姿を瞳に映していた。





DB VS孫悟空実兄編後とナッパ戦で出し。寝ている孫悟飯を見ながらマジュニアと兄上。本編未来IF。

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