3・恋の奴隷/「貴方の虜 10のお題」
高校三年生のこの時間を、一緒に過ごせるとは思ってもみなくて、正直その部分だけ神様に感謝した。
あの日から夕暮れが嫌いになっていたけれど、彼女と同じ時間を過ごせるというのならまた別だということを思い知る。
笑ったり、怒ったり、ふざけたり。
何気ない仕草にはっとしたり、ちょっと心臓の音が大きくなったりしたりと、俺は忙しいけれど。
けど、それでも彼女が側にいる。
ただそれだけで満足して。
いや、違う。
そしてもっと彼女をと求めている自分に、少し呆れる。
こんな風に俺が考えているだなんて、きっと思ってもみないだろうけれど。
俺にとって恋心の主人は君で、俺は奴隷なんだろう。
だって俺の心をこんなにも支配しているから。
俺の『好き』を、ずっと何年も独り占めしているから。
もう少し、俺の方を振り向いてくれたら。
俺はこの気持ちを、正直に君に言うよ。
君への『好き』で、どうにかなってしまいそうだから。
片恋シリーズ。手塚部長帰国後の彼とヒロインさん。部長視点。
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