「貴方の虜 10のお題」
(7)愛しすぎて壊れそう
掴み取れなかった幸せと、最後の君の言葉が頭の中で繰り返されて眠れなかった自分は。
ようやくなんとかメル友のようなそんな関係でなんとか君と繋がりを持てたことで安心できている自分は。
きっと傍から見ればおかしな男だと思われるんだろうな、という自覚は少しある。
「さっさと次の恋を探した方がいい」
「女は彼女だけじゃない」
「お前ならよりどりみどりだろ?」
「入れ食いじゃねーか」
なんて言われることもしょっちゅうだけれど。
俺の胸の中にはもう君しかいなくて。
君しか見えていなくて。
それでいて嫌われるだろうから、君に何も告げられない自分のふがいなさに歯噛みする。
ちょっとした日記風のメールの内容に一喜一憂してるなんて君が知ったらなんて思うだろう?
馬鹿な奴だと思われるだろうか?
恋しい、なんていう言葉だけではもう足らない。
これはもう本当に、愛しくて愛しくて。
どうにかなってしまいそうで。
時々、俺のことを好きだという女の子が現れるけれど、それでも君の顔がちらついて断って。
日本に時々帰国できて、君の生の声を聞いたら嬉しくてたまらなくて。
そしてできれば腕の中に閉じ込めたいと思う、欲張りな俺がいて、本当にどうしようかと思う。
それでいて、告白すればきっと彼女の重荷になるだろうし…。
それに今の状態は、本当に『友達』で、以前の『親友』、あるいは『親友以上恋人未満』な関係ではなくて、俺の一言でまたやっと繋がった縁が切れてしまう可能性もある。
それが怖くて、臆病な俺は『友達』の中でできる交流を持つ事しかできない。
見るたびに綺麗になっていくようで、そんな彼女に惚れる男の存在も不二や乾達から聞かされることがあって、彼女には直接聞けないから、いつ彼女の口から…あるいはメールのやりとりで「恋人ができて」なんていう文章が飛び出したらと思うと胸が張り裂けそうになる。
愛しくて、愛しくて。
もう俺のどこかは壊れそうな勢いで。
だからこの気持ちを君に告げたら、俺はずっと君を俺の側から離さない。
でも今は、告げる勇気がまだ足りない。
テニスの王子様/片恋シリーズ/部長視点
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