感情表現 10のお題




9・緊張する




深呼吸をして彼女を待つ。

嫌われてない事が解ったけれど、メールでやり取りはしていたけれど。

それでもあの最後の別れの言葉は俺にとっては痛恨の一撃で。

クリスマスイブにこうして日本に戻ってきて、皆で会おうと約束した場所にいきなり俺が来て彼女はどんな表情をするんだろうか?

どうしてメールで教えなかったのかと拗ねられるだろうか?

それとも笑顔で迎えてくれるだろうか?

特定の仲のいい男が居ない事は、大石や不二達から教えられている。

(だからこそ、グループで集まる事に同意したんだろうが)

どくどくと心臓が五月蝿い。

もう一度深呼吸。

あぁ、俺をこんなに緊張させるのはテニスと君だけだと言ったら彼女はなんていうだろう?

まぁ、そんなことけして口には出せないけれど。
彼女の姿が目に入って、会えなかった時間と会いたかった思いに俺の緊張は最高潮に達した。

「…久しぶりだな」

なんて口にするけれど、俺はもういっぱいいっぱい。


俺はそれを留学期間を終えるまで、日本に帰国するたびに味わう羽目になり。

彼女の表情に一喜一憂して、結局想いを口にする事はなかった。




緊張に耐え切れなくて、彼女と言葉を交わすのが精一杯でそれどころじゃなかったから。





季節遅すぎだけれど。

テニスの王子様『片恋シリーズ』の手塚国光。






10.楽しむ



気が付けば、押しかけてきたKファイトの面々も見ていた中学生たちもシンと静まり返っていた。

彼の圧勝でKファイトが終了する、そう思えていたのに。

リョーマがちらりと急造のリングの上にいる彼を見上げる。

「どう、するの?」

「南雲が相手か」

ただ一言。

そう呟く彼の様子に、中学生たちが戦慄する。

戦うつもりだ。

相手は初めて面白そうに、それでも獰猛な笑みを彼に向けていた。

「茶番に付き合うつもりは本当になかった」

静まり返った言葉はよく聞こえた。

彼の後で弟たちや一緒に住んでいる小動物と彼が呼称する子供たちが心配そうに見ている。

「けど、その茶番、半分以上楽しんでたろ」

「久々にお前の手の内読めたからな」

「あれが俺の全てだと思われたら、結構な侮辱なんだが」

「そうだな、すまん」

そういいつつ、相手がリングに上がる。

いままで軽快なアナウンスをしていた放送部の女子も、その会話と彼らに魅入られたように動けなかった。

かたや、伝説の大番長。

かたや、成長著しい闘神士と呼ばれる中学生。

大人対中学生ならば、彼が負けるのは目に見えて判っているのに誰も止められない。

大人とか、子供とか。

体格が違いすぎるとか。

そう言った言葉が、口には発せられなかった。

そこにいるのは二人の『男』。

にやりと笑いあう彼らにそれ以上の言葉は必要なかった。



「じゃぁ」

「…あぁ」

心底『楽しい』と思える顔で、二人は構えあった。

はっと我に返った放送部の彼女がマイクを片手に振り上げる。

前口上も高らかに青空に響き渡った。

「レディィッファイッ!!!!」



その言葉と共に。

彼ら二人は大きく動いた。


逆行生徒/。いつかの未来。主人公と伝説の男、Kファイト前。


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