「もし、あたしが刑事を辞めたらどうします?」
そう言われて私はAIがはじめて考えるのを拒否して停止したことを自覚した。





「…時々、ほんとうに、突拍子もないこと口にしますね」

そう言うと私の相棒(人間の)は運転席でくすりと笑う。

「そうですか?」

その声音がいつもよりも重く感じて。
その表情がいつもよりも硬く感じて。
私はそっと彼女をおろして、「変化!!」と車の状態から人タイプに変形すると彼女を見下ろす。

「一体どうしたんです?」

ただ静かに彼女は苦笑した。

「愚痴ぐらい付き合いますよ?」
「そんなんじゃぁ、ないですよ。シャドウ丸」

ふっと笑われて、それ以上聞けなくて。
私は正直に言うことにした。





彼女が我々の前からいなくなる。
いや、私の前から、傍からいなくなる。
そんなこと、耐えられるか?

答えは『否』。






「離すわけないでしょ?」
「はい?」

聞き返す彼女に、薄く笑って言ってやる。

「辞表なんて出されたって、コンピュータに進入して記録の抹消します」
「シャドウ丸」

私は幾分、声を低くして言った。

「貴女が私の傍からいなくなるのはね、私がスクラップになるまでありえない」

そう言うと、彼女は目を丸くして。

「それじゃあ、あたしは一生、シャドウ丸の相棒じゃないですか」


そういわれたので、肩をすくめた。

「なんだ。今更そんなこと気がついたんですか」
「しわくちゃのおばあちゃんになるまで?」
「いいですねぇ、生涯現役でよろしく」


そう言ったら、今度は彼女にこう言われた。





「なんだか、プロポーズに聞こえますね」



その言葉に私は口の端をあげた。

「もしも許してもらえるなら喜んで」





「許すわけないでしょぉおおおおっ!!?」

半泣きのドリルボーイが私達の後ろに来て、そう突っ込みを入れた。

勇者警察Jデッカー シャドウ丸とヒロイン

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