「こちら墨東5号、異常なし。…ってとこでやっぱりそろそろなんじゃない? 中島くん」

聞こえてきた警察無線に、私の中に乗り込んでいる女性刑事がくすりと笑ったのを感じた。

「こちら墨東4号。こちらも異常なし。…頼子、私語は慎む!」 「あー、あたしもそう思う」 「夏美!」
「こちら墨東3号。異常なしです。そろそろって、なんですか?」
「こちら墨東6号。異常なしでーすv 葵先輩、それは決まってるじゃないですかぁ。プロポーズですよ、プロポーズぅ」

くつくつと堪えきれないように彼女が笑う。

「いんですかい? 一応お仕事中ですよ」
「じゃあ、割り込みましょうか?」

彼女の言葉に私は警察無線に横槍を入れる。

「こちらシャドウ丸。…あんたがた、何を話してらっしゃるんで?」
「こちら墨東5号。きゃーシャドウ丸お久しぶりーvv」
「こちら墨東4号。ちょっと、デッカールームのロボ刑事が動いてるなんて、事件?!」
「うぅん、ただのパトロール中。たまたま墨東署内のエリアに入ってるだけ」

彼女の言葉に墨東署の交通課の女性警察官(一部、性別男性含む)は納得したような声を上げた。

「で、中島巡査がどうかしなすったんで?」
「こちら墨東5号。きゃーv シャドウ丸も気になる? 気になるぅ?」
「頼子!」
「こちら墨東3号。お疲れ様です、シャドウ丸さん。そちらはどうですか?」
「こちらは異常なし。こういう夜が続いて欲しいもんです」
「で。早川巡査。そろそろなの?プロポーズ」
「な、なんてこと言うのよ! 勤務中に不謹慎よ!」

彼女の言葉に、私の中にいる女性刑事が小さく笑う。
古巣の皆さんは彼女を笑わせるのが、本当にお上手だ。

「そうよぉ、ちゃっちゃと中島君も言っちゃえばいいのに」
「これは女のほうから言ったほうがいいんじゃないのぉ?」

「よ り こ」

「でも、本気の話。もういい加減にあいまいな関係にピリオドつけてもいいと思うよ」
「と、いうことは」
「こっちからプロポーズ」

きゃーっvと女性陣の小さな悲鳴が上がった。
女は姦しいとはよく言ったもんだ。

「そ、そんなこと…」
「美幸?」
「…言えない」

小早川巡査の本気の声音に、彼女は小さく微笑む。

「そう、でも恥ずかしがってたら、前には進めないわよ」
「わ、判ってるわよ。そんなこと」
「で、さぁ。シャドウ丸たちはどうなの?」

「へ?」

おや、こっちにお鉢が回ってきやしたか?

「どういうこと」
「ドリルボーイからネタは上がってるわよぉ。シャドウ丸とコンビを組んでるお姉さぁんv 彼とはどういうご関係?」
「本人交えて聞きますか、普通」

私は顔を紅くした彼女の変わりに答えてやった。

「ラブラブな関係ってことでお願いします」
「シャドウ丸?!」

きゃーっという女性陣の悲鳴に、なぜかハートマークが飛び交っているような錯覚(そんな機能はないのだが)を覚えた。



後日。

「シャドウ丸! いい加減な噂流しちゃいけないんだぞう!!」
「おう、まったくだぜ」
「噂の真偽を問いただしてもいいか? シャドウ丸」

かなり怒っているドリルボーイとデッカードの旦那と、パワージョーが私をにらみつけたが、肩をすくめるだけにしておいた。

勇者警察Jデッカー シャドウ丸とヒロイン

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