「甘いもので12のお題」

12.
二人


※男主さんたちの名前が固定されています。ご注意ください。





九十九飛鳥という人物を例えで言うなら「鬼神」と人は言う。

だってはんぱではないのだ。

生まれからして国家機密。>この辺オフレコでお願いします。

その育ちは波乱万丈。バイオレンス吹き荒れし放題。

性格は冷酷で俺様で、強気で無敵。



だったはず。



「月天、現実を見据えろ」

そう言ったのは相棒の日照だった。

俺たちは神社庁の本家お抱え、いわばデビルバスター養成コースのエリート中のエリート。

そんな俺たちの100歩前を行くのが、飛鳥様だった。(天翔様はその100歩先だ)

初めて会ったときは、冷たい男だと思って、悪魔を殺すのをなんとも思わない冷血漢だと思ってた。

それが今までの真実。

けれど。

「あの男(ひと)が、あぁ、なるとはお釈迦様でも思うまい」

俺が言うと、相棒は「確かに」と即答する。

結婚してやってきたお嫁さんは、俺たちよりも年上だけど子供で、そしてそのまま大きくなったような人だった。

それでいて、なんていうか…全ての事に諦めていた。

生きることにも、誰かを好きになることも。

一応、若いとはいえ僧侶(生臭だけど)なので、その辺は判るんだよな。

なので、頑張って話し掛けたら結構可愛い人だったのだ。

天然でぼけるし、よく転ぶ。

俺と日照と奥さんが話してる最中、飛鳥様は最初はただそれを眺めていただけだった。

視線には何の感情も浮かばなくて。

それが一ヶ月過ぎ…二ヶ月経ったある日。

変わった。

俺たち三人が話してたら、奥さん呼んで引き離して。

えらい勢いで睨まれました。>奥さんは見えてなかったけどねー。

「ヤキモチですか? 飛鳥様」

後からそう聞いた日照に、吐き捨てるように「悪いか」と言い捨てたらしい。

それからというもの…。

「ぬぅ…見事なまでのいちゃつきっぷり」

俺たちの視線の先には、飛鳥様に抱きつかれて困っていて何か言おうとしたのだが反論されてそのまま膝の上に乗せられている奥さんの姿がある。

いや、なんつーかすげぇ違和感ばりばりなんだよなぁー。

俺らからしてみたら、一緒に生活してきて邪気のない、あんな嬉しそうな笑顔の飛鳥さんなんてさ。

「ご夫婦だからな。一応」

日照がそう言って、小さく笑う。

「ま、俺は奥様がお幸せになればそれで良い」

「それは俺もなんだけどなぁ」

俺たちから見れば、お嫁さんである奥さんは姉であり妹のような存在で。

夫婦関係がどうなるか心配はしていたんですよ、実は。

だからこうなることはとても嬉しい事なんですが、なんと言いますか。

「でもなんか俺ら胸焼けする前に奥さん救助した今日この頃ですが」

俺の言葉に日照が笑った。

二人がにこやかにしてるのは嬉しいんだけど、奥さんと一番仲良かったのは俺たちであって…。

それに俺らは一人身で、この甘ったるい飛鳥さんのラブラブフィールドにずっといるのは少し耐え切れないので。

それを合図に、俺は2人にわざと見つかるように歩いて。

「こんなとこにいらしたんですか!!」

わざと大きな声をかけたら案の定、奥さんは恥ずかしいからと飛鳥さんから逃げる。

「…月天」

お前、死にたいか?

言外の言葉を感じ取って、俺は一瞬、身体が硬直した。

ひぃっ…っお、鬼が居る。

俺は視線をそっと逸らしながら奥さんの側にいった。

安全圏内にいなければ!




それが俺たちとこの夫婦のいつものこと。







第三者視点の「悪魔と踊れ」

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