真・女神転生TRPG風創作「悪魔と踊れ」
台詞で15のお題

(1〜7)


1.「大好き。」





その一言を言ってくれれば、きっと俺は有頂天になる。

だって彼女にそう言われたことがないから。

きっと嫌われてないとは思いたいけれど。

キスして舌を差し込んでもおずおずとしか答えてくれなくて。

抱きしめるのもいつも俺から。

それは別に嫌じゃない。

けれど。

その一言が、いつか欲しい。

…きっと、一言じゃ物足りなくて、なんどもとせがむだろうけど。

だから、言ってください。

俺だけに。

「大好き。」って。




2.「大丈夫」



飛鳥さんは、あたしが外出すると心配そうな顔をする。

どこかにあたしが行ってしまうんじゃないかと、思っているのかもしれない。

不安、なんだろうか?

あたしごときがたかだか彼の中で重要視なんてされてるとは思わないけれど。

ちゃんと約束したのに信用されてないのかな?

飛鳥さんが「いらない」と言う日まで一緒にいると言ったのに。

それに、ここには友達もいるから、急にあたしはいなくならない。

だから、そんな顔しないでくださいよ。

あたしはまだちょっと何かいいたそうな彼を見上げて、少し笑って見せた。

「大丈夫」

まだ、貴方の場所にいます。

まだ、貴方の傍にいますよ。

貴方が、あたしをいらないというその日までは。







3.「俺の言う事、聞けないの?」





彼女が風邪を引いた。

だから、この家から出るときは友達と言う名の仲魔たちを連れて行けば、病魔くらい平気で跳ね除けてくれるだろうに。

彼女はそうしなかったから、このありさまだ。

「う〜〜」

ちょっとうなりながらも、布団から出てこようとするから、俺は「いいから寝とく」と戻した。

「でも、いろいろとすることがあるのに」

そのぐらいは俺がやれる。

そう言うと、彼女がむぅっと唇を尖らせたから。



ちぅっ。



「っ!」



熱もあって顔を紅くしていた彼女に言った。


「俺の言う事、聞けないの?」


彼女は黙って布団をかぶった。




4.「仰せのままに。」



「今日は飛鳥さんデーにします」

そう言うと彼は目を丸くした。

熱が出てしまった時、家の全てのことを任せてしまったから。

申し訳ないと思ってしまったから。

「あたしにできる範囲で無理のないことはなんでもしますよ」

そう言うと、くつくつと笑う。

「ほんとに?」

本当に、嬉しそうに見つめられて。

心臓が、どくんと波打った。

な、なんか恥ずかしいなぁ、とか思ってしまう。

ちょっと顔を紅くして言葉を待っていると。

「じゃぁ、日付が変わるまで俺の言うこと聞くんだよな?」

「えぇ」

頷くと満足そうに笑った。

「じゃあ、一緒に買い物行こう」

それで、どこか映画でも見に行こうか、奥さん。

そういわれて、彼を見上げる。

「デート、しよ」

嬉しそうな声の彼に、本気であたしのことを想ってくれているとか、考えそうになって。

瞬きを数回繰り返して、落ち着かせて。

それでも、どこか恥ずかしくて嬉しい誘いに、あたしの顔は笑っていた。

「仰せのままに。」

そう言うと、彼も笑って。

しばらく二人で笑いあった。


5.「大嫌い。」


またじゃ。

折角、この御山におる妖怪達…いやさ、ここの人間達風に言えば悪魔なのだろうが…と共に散策なりでもしようと思うておったのに。


最近、ようこの寺の小僧が連れ出して行ってしまう。

小生意気な小僧の分際で。

わが友は我ら妖怪全ての友なのだ。

独り占めされてなるものか。

たとえ、それが友の伴侶だと言ったとしても。

友に貰った「けいたいでんわ」なるものを取り出して、登録した番号を押した。

わが友にかけるのではない。

あの小僧にかけるのでもない。

「…おう、お主か。妾じゃ。何を驚くことがある。おう、それでな」

一頻りこちらの要望を伝えると電源を切る。

人間とは面白いものを作ったものじゃて。

くつくつと笑ってやる。

わが友との逢瀬、邪魔してくれよう。

あんな小僧にわが友の心の痛み…隠されたそれが癒すことなどできぬであろうし。

妾はあの男は「大嫌い。」じゃからして。

そう。

「大嫌い。」

わざと声に出してそういうが、聞いておるものは誰もおりはせなんだ。







6.「運命だ」


「どうして貴様らがここにいる?」

「え、あの…その…。じ、事件解決のお祝いってことで自主休校して…」

塙屋敷優はどもりながら、ちらちらと俺を見上げる。

今日は完全オフだと言っておいたから、こいつらと顔を合わせるつもりはこちらには毛頭なかった。

急に事件に巻き込まれたとしても、己と仲間(仲魔)の力で何とかするのがクズノハのサマナーとしてのプライドって奴じゃないのか、えぇ?

そう言って完璧にオフにしたつもりがこの有様だ。

奥さんの携帯電話に御神葵から連絡があり、近くに来ていることを知った奥さんが、上目使いで俺を見上げたのが悪かった。

うちの奥さんは御神葵がお気に入りだ。

「白姫様より、こちらに来ていると伺いましたから」

あ の く そ へ び お ん な!

御神はそういうとはにかんだ笑みを浮かべた。

だが、俺にはそんな笑みなど関係ない。

「さっさと帰れ」

「何言ってんだよ、これから31アイス食いながら映画見に行こうぜ。勿論九十九親父のおごりで」

…あぁ?

俺は思わずそう言った榊雅也の頭を掴む。

「いででででっ」

「どうしてお前に奢らにゃならん」

「いでーーーっ、九十九嫁! 助けろ!」

あらら、と言いながら彼女が俺を見上げる。

…なんだかんだ言って俺よりもこいつら優先するからなぁ、うちの奥さん。

ぎりぎりと締め上げるの止めてやると榊はするりと素早く逃げた。

「白姫様に、様子を見て来いと言われて、すみません」

ぺこりと頭を下げたのは塙屋敷。

「様子は見れたろ。だからとっとと帰れ」

しっし、とジェスチャーすると、うちの奥さんを盾にした榊がべーと舌を出してから言った。

「アイス! アイス!」

てめぇは小学低学年か。

ぎりっと睨もうにも、俺の奥さん盾にされているから睨まれない。

「…飛鳥さん、あたしもアイス食べたくなってきました」

本当はそういう類のもの、滅多に口にしない彼女が笑いながらそう言ってしまったので…。

「……そう、言うなら」

俺はしぶしぶ頷く。

歓声を上げる一人と、申し訳なさそうに頭を下げる二人を引き連れてそこに行くと。

「「あ」」

「…ふーちゃんに、いーちゃん?」

何かの事件で彼女と一緒に行動し、母と慕う高校生二人組がそこにいた。

「おいおい、てめぇら。ガッコはどうしたよ」

榊の言葉に、ふーちゃんと呼ばれた方が鼻で笑った。

「その台詞、そっくりそのままお返しするよ」

「俺たちはテニスの遠征帰り。泊りがけで行って来てね」

俺よりも少し低いが、高校生としては高い部類の眼鏡をかけた奴が俺に頭を下げて挨拶してくる。

「けっ」

榊が面白くなさそうにしているので二人の間でおろおろとうちの奥さんがしている。

…に、しても。

「なんで、こうもお前らと会うかな」

俺の呟きに「え?」と聞き返す二人組に、小さく笑って御神が教えたらしい。

俺と奥さんがデート中だっていうことを。

そうしていると仕事帰りの日照と月天まで現れた。

俺の風貌は目立つから、よく判ったと笑う二人の出現に溜息が出る。

今日は俺と奥さんのデートなんだぞ?

奥さんいわく「飛鳥さんデー」なんだぞ?

なのになんでこう邪魔しにくるのがわらわら出てくるんだ。

榊が一言、呟いた。

「運命だ」

なんの?

「そういう」

「あー、なんかそんな感じしますね」

きょとんとした奥さんのとなりでいーちゃんと呼ばれた長身の少年が頷いた。

俺と奥さんが出かけたら、邪魔される運命だってーのか?

俺は小さく溜息をつく。

いるか、そんな運命。

素直にお前らも俺たちを二人っきりで楽しまさせろ!




7.「聞いてる?」



「思いっきりベタなデートコースだね」

ふーちゃんがそうばっさりと切り捨て(しかも微笑み付)たけど、飛鳥さんが「そのベタのをしたいんだよ」と即答した。

そうかなぁ、べたかなぁ?

お茶して、歩いて、映画見て。

ゆっくりしたらお買い物。

のんびりまったりしていいと思うけど。

最近の高校生のデートコースは違うのかな?

いーちゃんにそう言うと、口元に笑みを浮かべた。

「別にそんなの気にしなくてもいいと思うよ。お母さん達はそれがしたいんだろ?」

うん。

と、言っても本当にしたいのは飛鳥さんなんだけど。

こくんと頷くと「じゃぁ、ここいらの映画館の情報教えてあげるよ」と言ってくれた。

「アイス、奢ってくれた代わりにね」

別にいいのに、と言うと「そう言わずに、ね?」と言われて、頷くと<データノート>を取り出した。

なんでも載ってる大学ノートだ。

「お、何調べるんですか?」

ここぞとばかりにトリプルのアイスを口にしていた月天さんがノートを覗き込む。

…あぁ、いいから早くその手のチョコチップをさっさと食べちゃわないと、たれちゃうのに!

「映画館の最新情報。昨日更新したばかりだから。えーと、ここいらは」

「うわー、いーちゃん。字、細かっ」

月天さんがそう言うと、いーちゃんは眉をひそめた。

「俺をいーちゃん呼びできるのは九十九のお母さんだけなんですが」

「細かいこと気にしてたら、はげるよ。いーちゃん」

「お坊様の貴方にそういわれると、すごく説得力のあるようなないような」

「お邪魔をして申し訳ありません。奥様」

彼らが口論してる間に、あたしの傍には高校生三人組と日照さんがいた。

「いえいえ、ぜんぜんオッケーですよ?」

「奥様はおっけー、でも飛鳥様はそうではありません。ですが」

ここのアイス、食べたかったんですよ、実は。

そういって日照さんは不器用な笑みを浮かべる。

「で。いーちゃん、なんかいい映画あるか?」

「ってーか、お母さん達のデートに何気に君達がついていってどーする」

「だって面白いもん」

九十九旦那の邪魔するの。

がしっ、と飛鳥さんの手がまた榊君の後頭部を掴んだ。

大きい手。

「榊、本気で俺がこのまま握り締めたら…判るな?」

…どうなるんだろう?

「よ、嫁ーーっ!」

榊君のヘルプに慌てて飛鳥さんに止めるように言おうとしたら、ふーちゃんがあたしを止める、

「あれは自業自得だから、しばらくあのままでいいんだよ。お母さん」

え、いいの?

「良くねぇ! 優! 葵っ!」

「雅也が悪いよ」

「同じく、同感です」

「思ってても口にしないのが当たり前なんだよ」

口に出したほうが迂闊なのさ。

…ふーちゃん?

なんだか黒っぽい発言にびっくりしてあたしはまじまじとふーちゃんと見詰め合ってしまった。

その間に、いーちゃんと月天さんと日照さんがあーだこーだと言い合ってる。

「九十九さん。ここいらだと恋愛系とホラーとアクションしかないけどどうする」

飛鳥さんはちらっとあたしの顔を見てから。

「…ホラーで」

えぇっ!? なんで?! どうしてそうなるわけ? 飛鳥さん!!

「ああ、やっぱりそうだよね。お母さんいるし」

ちょっとまって、ふーちゃん!

普通、いるから違うものを見るんじゃないの?

「じゃあ、ここにする? ハリウッドでリメイクした奴」

「怖いのはだめっ」

寝られなくなっちゃうでしょう?

真剣にそう言ったのに。

「こっちのほうがよさげじゃないか?」

「嫁、泣くなぁ。こっちの方が」

「ぐろいよ、それ。怖いというよりも」

ぜんぜん話聞いてくれない!

ねぇ、ちょっと。

人の話を。

「聞いてる?」



「「「「「「「「聞いてる(ます)」」」」」」」」

「と、いうわけで。見る映画は呪◎で」

うわーーーっ聞いてなかとでしょ、貴方たちーーーーっ(大泣)



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