「甘いもので12のお題」

9.ショートケーキ








「視覚的暴力ですよね」

そう言うとガイの肩の辺りを浮いていたプチデビルはくつくつと笑った。

「何がだ」

「何がだじゃないですよ」

ここサイジェントの北スラムを根城にする、泣く子も黙るオプテュスのリーダーが。

生クリームを泡立ててるなんて……!!

そう言いながらガイが額を押さえているのをバノッサが鼻で笑った。

「何を今更いいやがる。俺様たちの誕生日だのなんだのの時にでた菓子類の類は誰が作ったと思ってんだ」

「もしかして、もしかしますか?」

ガイの言葉にバノッサではなくレシィが手を上げた。

「ご主人様とカノンさんとお聞きしています!」

僕も頑張ります!!

「よし、頑張れ」

呆然とする召喚術の弟子の前で『スラムの父』は、白いエプロンをつけた自分の護衛獣と一緒に、甘い匂いを漂わせ始めた。

「親父、今日はなんだ」

「あぁ、リプレに教えるから復習のつもりでショートケーキをな」

『スラムの父』。

『闇夜の導き手』。

そんな仇名を持って騎士団にも金の派閥にも一目置かれてる男が…。

「なんで、こんなにお菓子つくりが上手いんですか」

「そりゃ数こなしてっからだ。よし、今日のおやつは皆、ショートケーキだからな」

「…おやつ…」

「何も言うな。俺様も言えねぇ」

その言葉に次期リーダーと、スラムの父直弟子の外道召喚師は小さく溜息をついた。







その日、オプテュスメンバーで、隠れ家にいた人間は全員ショートケーキが配られたのだが、誰のお手製なのかは公然の秘密とされている。





終焉の獣

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