バイトもない日曜日。
なんであたし、朝早く起きて卵焼き作ってなきゃいけないの?
なんであたし、お弁当作ってんの?
それもこれも、藤原拓海が悪いのよぉ!!




にこにこ笑いながら、ハチロクに乗って、マジで来たわよ。
あたしのストレスの原因が。

「藤原」
「約束しただろ」
しれっとした顔で言うな!
「弁当作ってくれた?」
ええ、ええ。
作りましたよ。
あんたが何度も何度も学校でも峠でも携帯かけてでもしつこくしつこく言ってきたんだもん!
池谷先輩達もさり気に言ってくるしさ!
ちーくーしょーーー(涙)。
かなり大きいお弁当つくっちゃったじゃない!
「嬉し涙?」
「違うわよ!」
いい?
これはあまりにもあんたが五月蝿いから作ってあげただけで。
そう言い訳したら、すごく爽やかな、そして嫌な笑いを浮かべたわ…藤原。


バタン!
相手にしないでおこうっと。
あたしは助手席に座る。

「んじゃ、行こう」
お昼に泣くのはあんたなんだからね!!
覚えてなさいよ!!



かなりむかついていたあたしだけど、秋名湖はかなり素敵で、藤原とのゴタゴタも忘れてたのよ。
けど、お昼になって。
ハチロクに戻ってきて。
お弁当の卵焼きを見て。
あたしは「はっ!」と気がついたわ。
ふふふふ。

? 何にやけてんの」
「にやけてない、にやけてない」
「んじゃ、お弁当頂戴」

見てなさいよ、藤原。

「はい」
見ろ、この完璧な卵焼きを!

「んじゃ、いただきまーす」
速攻。
先手必勝とも言うわ。
あたしは自分が作った、その見事な卵焼きを自分の口の中に押し込めた。
数を押さえたからできるけど、一気に四つ放り込んだわ!

「ああああああ!!」
はんっざまあみやがれ! 藤原!
そう言いたかったけど、口の中は甘い卵焼きでいっぱい。

あたしは一生懸命口を動かして、お茶を飲んで、呆然としてる藤原の顔を見て。

勝った!

そう思った瞬間。

「味だけでも教えてもらうから」

へ?


気がつくとあたしの唇はまた塞がれて。

しかも、しかも。

ごめんなさい。

これ以上……実況できません(涙)。

あたしの中のブレーカーが、がちって音をたてて落ちました。




「そういう可愛い、嫌がらせは俺にはきかないんだから」

ううう。

「判った? 
「わ、判った」


第一次防衛戦線は、あたしの完敗。
うう。
見てろよ、藤原!
人の唇、勝手に奪った報いは受けてもらうんだから――!!



初UPした時のコメント: さん。無理だろ(苦笑)。
オイラのサイトの拓海くんは人前でちゅー平気かも(汗)。 

2004/3/22 以前の作品

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