初UPした時のコメント:久しぶりなのでリハビリで、本当にショートストーリーかましてみました。
…逃げよう、素直に(え?)
2004/3/22 以前の作品
レッドサンズの高橋涼介はその形の良い眉をひそめ、しげしげとそれを見ていた。
「自覚はあるのか?
…」
おそらくはないのだろうな、と自己完結しながら彼は見つめる。
彼の視線の先には。
ぐっすりと寝こけている、自分の彼女。
ついこの間、ようやく二人きりになって自分の方から告白して彼女にした、
その彼女がベットにもたれかかって寝ている。
理由は少し判る。
学校の課題を一つ忘れていたらしく、徹夜ですませたと言っていた。
眠いのを我慢して他チームの分析をまとめるのを手伝いに来てくれたのだ。
ミスもなく、ようやくさっき終わって、これから甘い二人きりの時間だというのに。
「啓介を追い出したかいがないじゃないか」
これでは、と。
彼女に視線をよこす。
少し上気した頬に、すうすうと規則正しい息の音。
小さな肩に。
スカートからのぞく、すらりとした足。
まじまじと見つめて、涼介は思わず頬を染めた。
家には自分達しかいなくて、家族やいきなり押しかける連中も今日はいないのだ。
親と従妹はそれぞれ旅行に行っているし、弟は今頃、チームの連中と走っていることだろう。
しかも愛しい彼女と、自分の部屋に二人きり。
そう、つまりは。
彼の行動を邪魔する障害物は一切ない。
「
…」
小さく呼びかけても返事をしないのに、ほっとしたような、それでいて悲しいような。
手を伸ばし、指が彼女の頬のラインをそっとなでても反応しない。
涼介は、かすれた声でこうつぶやいた。
「さて、…どうしようか…
」
少し近寄って、顔を寄せても。
手を握っても。
愛しい彼女はそれでも夢の中。
高橋涼介が、次の行動に移るまで、のこりきっかりあと5秒。
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