レッドサンズの高橋涼介はその形の良い眉をひそめ、しげしげとそれを見ていた。

「自覚はあるのか?  …」

おそらくはないのだろうな、と自己完結しながら彼は見つめる。

彼の視線の先には。

ぐっすりと寝こけている、自分の彼女。

ついこの間、ようやく二人きりになって自分の方から告白して彼女にした、 その彼女がベットにもたれかかって寝ている。






理由は少し判る。

学校の課題を一つ忘れていたらしく、徹夜ですませたと言っていた。

眠いのを我慢して他チームの分析をまとめるのを手伝いに来てくれたのだ。

ミスもなく、ようやくさっき終わって、これから甘い二人きりの時間だというのに。

「啓介を追い出したかいがないじゃないか」

これでは、と。

彼女に視線をよこす。
少し上気した頬に、すうすうと規則正しい息の音。

小さな肩に。

スカートからのぞく、すらりとした足。


まじまじと見つめて、涼介は思わず頬を染めた。


家には自分達しかいなくて、家族やいきなり押しかける連中も今日はいないのだ。

親と従妹はそれぞれ旅行に行っているし、弟は今頃、チームの連中と走っていることだろう。

しかも愛しい彼女と、自分の部屋に二人きり。



そう、つまりは。

彼の行動を邪魔する障害物は一切ない。


…」

小さく呼びかけても返事をしないのに、ほっとしたような、それでいて悲しいような。

手を伸ばし、指が彼女の頬のラインをそっとなでても反応しない。


涼介は、かすれた声でこうつぶやいた。


「さて、…どうしようか…

少し近寄って、顔を寄せても。

手を握っても。

愛しい彼女はそれでも夢の中。




高橋涼介が、次の行動に移るまで、のこりきっかりあと5秒。



初UPした時のコメント:久しぶりなのでリハビリで、本当にショートストーリーかましてみました。

…逃げよう、素直に(え?)

2004/3/22 以前の作品

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