いい男、彼氏にしようよ♪
友達のそんな言葉に乗ったのは、あたし。
だって……もう、片思いはつらいんだもん。
それが、彼女、 の本音。



「じゃ、お願いします。亮介さん」

飼っているポメラニアンのニナを、いつものように(本当にすまないとは思っている)信頼のおける高橋亮介さんと、その従姉妹ちゃんの緒美に渡す。
遠縁だから本当はあまり頼ってはいけないとは思うのだけど、ここのおじ様もおば様も「そんな水臭いことをいうものじゃない」と逆に言ってきてくれた。
親もなく、一人で住んでいるあたしにとっては大変にありがたいご近所様だ。

「今日のちゃん、セクシーv どこ行くの? デート?!」

緒美ちゃんの言葉に、少し詰まる。

「うーん、近いかな。今日T大の男の子達とうちの学部の女の子連中と合コンなの」

なんて言うと、亮介さんは少し驚いた顔でまじまじとあたしを見つめた。

「そんなにあたしが合コンするの、珍しいですか?」
「いままでしなかったじゃないか」

そう言われると、その通りなんだけれど。

「友達に誘われて」

嘘じゃない。
なのに、少し後ろめたい気持ちがするのは、なんでかしら。

「……啓介は、知ってる?」

どうして啓介くんの名前が出てくるんだろう。

「いえ、知らないと思います。最近話してないから…」

そうか、と言うとじっと、あたしを見て考えてる。

「な、なに?」
「いや、その格好、さぞかし啓介の奴、見たがるだろうなって思って」
「啓にいには勿体無いよっ!」
「緒美、それ啓介には言うなよ。また喧嘩になるから」
「じゃ、ニナのこと、よろしくお願いします」

くううんっと甘えた声がするけれど、あたしはにっこり笑って高橋家を後にした。
なんだか、啓介くんの話は、あまり聞きたくなかったから。
なぜだかは…心の底では気がついてるけれど。



「将来、●●病院は僕がつぐんだ」
誰もそんなこと聞いてないわよ。

「へぇ、センスいいね…」
貴方はそうでもないのね。

カクテルを少し飲みながら、話をあわせているけれどかなり苦痛。

「ねえ、。あんたは?」
「え? なに?」
「だから、(ここで小声になる)気にいったのとか、いる?」
「ううん、全然」
「なんで? 結構レベル高いよ? 今回」

だって、亮介さんと比べると、かなりいい加減な人たちばかりに思えてしまうから。

「今回、あたし、パス。二次会行かない」
「も〜。は堅いんだから」

そうじゃない。
あたしだって彼氏は欲しい。

けど。

はさ、周りにいい男がいるから目が肥えてるのよ」

違う友達の言葉に、あたしは深く同意した。
頭の中で、亮介さんがにこやかに笑って、啓介くんがそっぽを向いた気がしたから。
…あの二人と、同じじゃなきゃいい男として認めないんだわ。あたし。
自分で初めてそれに気がついて、頭を抱えたくなった。
じゃあ、あたし、いつまでたっても彼氏って作れないじゃない。



二次会に行かないってあたしは言って、お店を出る。
何人かの男の子達が引き止めてくれたけれど、残っている女の子達にも悪いから、さっさとあたしは理由を何かしら作って引き上げた。

「少し、酔ったかな」

歩こう、と、あたしはタクシーを拾える場所までとぼとぼ歩くことにする。
ずっとずっとあたしは片思い。
もう、かれこれ何年になるんだろう。
指折り数えて、小さく溜息。

「って、あれ?…」

考え込んでたら、どこかの公園に入り込んじゃったらしい。
あたしの悪い癖。考え込むと周りを見ないから(汗)。
確かにタクシーとか拾うのに都合のいい場所はこの公園を突っ切った場所にあるけれど。

「ここってアベックばっかりの、あの公園だっけ…」

ちょっと来たくない場所に入り込んじゃったらしい。
ここは、アベックが多いことで有名だけど、その反面、深夜の今の時間帯は痴漢とかの噂も聞く場所。
よりにもよって…こんな場所にくるなんて!
遠回りするのには、もう中に入り込んじゃってるし。
早いところ抜けようっと。



………つけ、られてる。
ちらって見ると、男の人らしい人影。
やだ。結構、怖い。
バックから、携帯電話を取り出してかけようとするんだけど、かたかた震えて駄目。
あたしのあほーっばかーっ! 
ここ公衆電話あったわよね。
そこまで、行かなきゃ。

後を少し気にしながら、あたしは公衆電話の場所まで歩いた。




「悪いな、待ったか?」

遠巻きにこっちを伺っている男の人を睨みながら、その人は来てくれた。

「大丈夫か?」

少し汗をかいてる。走ってきてくれたの?

「おい、
「啓介くんっ」
「お、おいっ」

あたしは、来てくれた、そしてずっと片思いしている男の人…高橋啓介くんに、思わずしがみついた。



初UPした時のコメント:そしてまた引っ張る、オイラ(笑い)。次回でマジで終わらせなきゃね…(おい)。

2004/3/22 以前の作品

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