「なくなよ、おれがずっとまもってやるから」
「ほんとに? ほんとに?」
「うん、ぜったい」
「じゃ、ゆびきりしてくれる?」
「うん、いいよ」




青い空、白い雲。
金田一一は屋上で寝転がるとぼんやりと空を見つめていた。

とめどなく、頭の中には先ほどの光景が繰り返される。

幼馴染で、生徒会役員のが、告白されるシーン。
別段、珍しくはない。
何度だって見たことがある。
いつだってはもてる。
中学時代から数回目撃してるし、噂だって聞く。
そのたびには断り。
ただ、今回、勝手が違ったのは一度と噂になったことがある、同じ生徒会の役員が相手だった。
一は苦々しく、その場を立ち去ろうとした。
がオトコと、俺以外の奴と一緒にいることに腹が立ったし。
そしてそのオトコと、恋人同士とやらになるのかと思うと、こう腹の底からぐっと熱い何かがこみ上げてくる。
しかし、離れようとした時に、聞いたの、言葉。

「あたし、好きな人がいるんです」

「その人は、もう、あたしのことなんとも思ってないかもしれないけど」

「あたしは、その人が好きなんです」

だから付き合えませんと、頭を下げるの姿を目で端で捕らえて。

なんだか授業受けるのが面倒くさくなった。


(忘れてるんだろうな)
幼い頃の約束。



わんわん泣いているを、への字口の一が連れて歩いた。
大きな野良犬が彼女のことを追い掛け回したので、それを見た一が犬を追っ払ったのである。
行為自体は大変すばらしい。
しかし、本人はまだ小学校に入りたてで。
そう簡単にはできずに擦り傷やらをたくさんつくり。
「はじめちゃん、いたい?」
傷だらけの自分を見て、涙で顔をぐしょぐしょにする
「へいきだよ、なくなよ」
ぎゅっと手のひらを握り、に言い聞かせる。
「ごめんね、ごめんね」
「あやまんなくっていい。それより、なくなよ! なんでおまえはそんなになきむしなんだ?」
「だって…」
「なくなよ…おれが、おれがずっとまもってやるから」
「ほんとに? ほんとに? はじめちゃん」
「うん、ぜったい」
「じゃ、ゆびきりしてくれる?」
嬉しかった。
当時の一にしては、それはとても大切な儀式で。
「うん、いいよ」
を守るのは自分だけなんだと誇らしかった。



「ゆーびきーりげーんまーん、はり千本、のーます。ゆびきった」
当時を思い返して、思わず口ずさむ一。

(忘れてるんだろうな)
もう一度、同じ言葉を繰り返す。
(ああ、ちくしょう。誰だよ)
なんて思う。

ぼうっと、見あげた。

青い空。

ひらりと視界の端に動いたスカート。
そして。

「白」

「どこ見てるの! 一ちゃんっ」

が怒った顔で立っている。

「なんだ、か…」
そう言いながらも、嬉しいのが本音。

「なんだはないでしょ! もうっ授業さぼって! 次の授業は出てよね。一ちゃん」

「え〜〜〜〜。や〜〜〜だ〜〜〜」

「やだじゃないでしょ! ほら、立って」
差し出された手にどきりとする。
「仕方ねえなぁ」
なんて言いながら、その手をとって立ち上がることで、さっきのイライラがどこかに行く。

が忘れててもいいか。俺が覚えてるんだから)

「どうしたの? 一ちゃん」
「うんにゃ、別に」
少し強く手を握り返しながら、一は強く想う。


いつまでも、いつまでもこの手をつないでおこう。
君といられるその為に。
いつまでも手をつなごう。
君のそばにいる為に。
いつまでもいよう。
その時が来るまで。



初UPした時のコメント:ちょっと作ってみました、一ちゃん創作。
いかがだったでしょうか。
裏一歩手前とかそんなものしか作っていなかったので、自分の心を洗うために作成といっても過言ではないです(爆死)。そして失敗(おい)。

2004/3/22 以前の作品

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