これからどうするかなぁ、とか思ってしまう。
乗っていた船は海賊にやられて大破して、僕は小船の上で寝転がってる。
両手と両足には鎖。
よくもまぁ、僕もこの状態で逃げ出せれたな。

僕の名前は、…いいや、今の姿だとって言ったほうがいいのかな?
本当、普通のどこにでもいる、RPGゲームが好きな高校生だったことはよく覚えてる。
ある日、部屋から出ようとした瞬間、なんの因果か異世界トリップしてしまった。
ネットで氾濫してる二次創作のように好きなアニメや漫画やゲームの世界ならば、僕の精神も潤ったかもしれないけれどそうは問屋がおろさないというか世界はそこまで甘くはなかった。
一番最初に行った世界は『真女神転生』だった。男主人公しかいない世界のはずが、しっかり女の主人公として僕は存在していた。
中盤に東京に核が打ち込まれてしまう、あのゲームだ。
一番最初の母親が悪魔に殺されてしまっていたのもショックだった。
自分の本当の母親とそっくりでもあったし、また彼女の子供としての記憶も経験も一番最初に自覚した時にしっかり精神に刻み込まれていたから。
そこであたしは剣と銃の取り扱いを我流で己の肉体に叩き込んだ。
その後、中立エンディングを迎えたその後、また違う世界に飛ばされていて、気がつけば『デビルサマナー ソウルハッカーズ』の男主人公になっていた。
身体的特徴にどぎまぎしながら、なぜか二周(つまりゲーム的にエンディングを迎えたな、と思ったらもう一度気がつけば最初からやり直しをしていた)。
まあ、二周目でスプーキーを救出したし、結構男として好き勝手にしたから同じことをするのも苦ではなかった。
その次に行ったのが「真・女神転生IF」で主人公でもそのパートナーでもなく一般の生徒として存在していた。
まぁ、それでもなぜか一緒になって闘っていたけれども。ちなみにそのときは女に戻っていた。

エンディングを迎えれば、次に待っていたのは『ペルソナ』で、やっぱり男の主人公と化していた。
そこでは2パターンのシナリオのエンディングを見たらまたも次の世界に強制移動させられていく。
「悪魔を殺しても平気なの?」という名(?)文句のゲームの世界に(ペルソナは微妙に違うけれど)何度もトリップさせられて、僕はいつのまにか悪魔にかなり詳しい人間になってしまった。
世界を変わるごとに、その憑依する、あるいは『僕』自身の記憶と経験を継承する。
剣をふるい、銃を撃ったその後に、ここが自分に優しい世界(元の自分の世界だったら)とかスポーツ漫画やアニメの世界だったらと思ったこともしばしばあったが、もはやそんな余裕はなくなっていた。

しかし、まだ己は人間なのだという自覚も自信もあった。

ペルソナ3の世界にも行ったし、デビルサマナー 葛葉ライドウの世界にも行った。
行った世界でも僕は人間だったのだから。
だけどその価値観も全て、次の世界で壊された。
『真・女神転生ノクターン・マニアクス』。
違うメーカーの主人公が出てくるこのゲームで僕はうっすらと自分が女だったという過去は覚えていても、すでに肉体が何度か男だったせいもあってか萌えとかそういう類の感情は覚えなかった。
ただ、幼馴染や友達と殺し合いをしなければならないのが本当につらかったけれど、その世界をまた創世することに全力を尽くした。
けれど、僕は…。



波の音が遠く聞こえる。
やばいなぁ、僕、こんな死に方初めてじゃないかなぁ。
なんだかんだがあって、また僕は新しい世界に来てしまった。
そこには今まで慣れ親しんだ、悪魔たちの姿はなくて。
僕は高校生でも学生でも救世主でも、そして人間でもなくて。
あの悪魔…人修羅の姿でいた。
力もいろいろあるけれど、僕はもう何かの為に戦うのを迷いだしていて…気がつけば一緒にこの世界に来てくれていたマガタマたちとストックにいる皆の力でかで、僕の能力の大半は封印してもらった。
だって、悪魔もなにもいなければ必要ないじゃないか。
そのせいもあって、僕は今の身体になってしまっていて、人修羅の特徴である刺青もなくなった。
封印の仕方が強すぎたのか、話せなくなって、それが不自由といえば不自由だ。
封印なんぞするもんじゃないと、人間なんぞに気を使うなとかいろいろ仲魔たちは言ってくるけれど、そのたびに僕は謝って好きにさせてもらった。

まあ、そのおかげか。
この身体じゃ職につくって言うことはできなさそうで、最初は孤児院に入れさせてもらったんだけれど、そこの院長先生に売り飛ばされた。
金色の瞳は珍しいし、その上この身体だ。かなりな金額になったらしい。
仲魔たちは不満を僕に向けてきたけれど、僕は彼らを呼ぶこともしないで(あ、封印状態でも呼ぶことは出来るんだって)、ただ言われたとおりに動いていた。
別にマゾってわけじゃないけれど、言うこと聞いていれば同じ孤児院の子供たちを保護してくれるっていうおばさんがいて…。
うん、まぁそういうわけでいわゆる奴隷っていう身分とあんまりありがたくない名前までつけられたんだけど。
(当たり前な話、ストックの皆は怒りまくってました)
僕の今までの人生って、そんなもんだよねぇ。
目を閉じる。
なんで襲ってきた連中のマガツヒ集めて食わなかったのか、とか、空を飛べる連中を呼んで陸地にいけとかいろいろストックの皆は言ってるみたいだけど。
うん、これも人生。
いや、悪魔生?
そう思うと、ストックの中で一番長い付き合いの妖精が、がなり声を上げた。
かなり怒ってるなぁ。
よく怒りが続くよ。

「お〜〜い、お前、何してんだ〜〜?」

あれ?人の声?

「ばかっ、遭難してんのよ! サンジ君!」
「はい、ナミさん!!」

僕は途切れかける意識の中で、その名前を記憶から掘り起こした。





あー、もしかしてここ『ワンピース』の世界?
そう思ったとたん、意識は闇に飲まれた。

2007.03頃UP?

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