突然ですが。

「ほう、お前の瞳は金色か。珍しい人間もいたものだ」
「っこ、この子はって言ってあたしの弟なの…っ」

いや、それ無理があるだろう。ナミさんっ! って心の中で裏手突っ込みパンチを繰り出すと僕は僕を連れてきたお姉さんを見上げる

なんというか…麦わら海賊団の船に乗せてもらってから突込みができるようになった気がするのは、気のせいかな。

「なんてクールビューティなのかしら。貴方、あたし専用のペットにしたいわ。どう?」

くいっと持ち上げたかと思うとつーっとお姉さんの指が僕のあごをなぞった。
…ショタコンですか、お姉さん。

「だっ、だめなんだからっ」

僕を隠すようにナミさんが抱きついてきた。
ルフィの麦藁帽子がちくちく刺さって痛い。
…僕とナミさんはトランプ海賊団っていう海賊団に捕まってしまっている。




あの後、なんの用意もせずにルフィに引きずられる形で僕たちは小さな、足でこぐタイプの舟…よく公園の池とかそんな場所にありそうなアヒルか白鳥を模したやつだ…に乗り込んで漕ぎ出したんだけれど、とりあえずメリーが行った方向にまっすぐルフィが漕ぎ出した。
いや、逃げようとしたけれど…ルフィがずっと手を握ってて離さなかったんだ。
「ほら、。行くぞ!」なんていいながら僕に渡したあのおもちゃを自分のズボンのポケットに入れて手をつかまれた。
振り払うのも、なんだったしね。
途中、僕たちは変な泥棒兄弟に捕まった。
ボロードとアキースのこの二人は、ねじまき島のダイヤモンドクロックを盗んで世界一の大泥棒を目指しているらしい。
ダイヤモンドクロックの情報はナミさんがよく知っていた。
僕はゾロに立たせてもらいながら、その話を聞いていた。

ねじまき島、かぁ。

聞いたことがない、というかアニメでも原作でもそんな島の話、あったんだろうか?
で話を聞いてると、トランプ兄弟のところで麦わらの海賊旗の船を見たことがあるって言い出した。
…おかしい、よね。
船が盗まれたってだけで、まあ多めに見てルフィが麦わら帽子をかぶってるからって、すぐにその船を連想できるはずがない。
ダイヤモンドクロックもトランプ兄弟が持ってるっていうことまで教えてくれた。
「「たいしたことねぇな」」なんてサンジとゾロが言い合ってる横でルフィが「この熊、いかす〜♪」とご機嫌だけど…。
「お前なに喜んでんだ! 自分の船盗んだ奴らだぞ。普通怒るところだろう。ぶったおそうと燃えるところだ」

この人。

僕はじっと兄のほうを見つめた。
僕の視線に気がついた彼は、ごまかすように笑って見せる。
そのときだった。
そのトランプ兄弟の海賊団が襲ってきたのは。
熊ちゃんマークの海賊旗って…可愛いけれど乗ってる連中は恥ずかしい服装だったよ…。(しみじみ)

「俺たちの船、返せ!」
「貴方たちの船? しらな〜い」

ルフィが声をかけてごたごたした後に、やっぱり戦闘になった。
僕はこの場合はおとなしくしておいたほうがいいかな?
それともナミさんを守ったほうがいいかな。
そう思っていたらルフィが僕に帽子をかぶせてきた。

「これ頼む」

え。

な、なぜに僕にかぶせるんだ。ルフィ。
僕が顔を上げるともうすでに戦闘は始まっていた。

「あいつら…やっぱ強ぇ!」
『やっぱり』

僕の耳に飛び込んできたその言葉に、僕は確信しながらまたボロードを見上げた。
この人は、ルフィたちをはめたんだ。
…。
…って、そんなこと、僕が気にしてどうするんだ。
別にいいじゃないか。
ルフィが利用されようが、そんなこと…僕は彼の仲間ではないのだから。
僕はそう思いながら、帽子をかぶりなおす。
…でも、なぜだか、いい気分にはならない。
そうこうしてたら、どうにも相手に悪魔の実の能力者がいて。

「よぉしっ、ここは俺に任せとけ! ここは名づけて逃げるが勝ち作戦だ!」
「「逃げるんか!」」(ナミさん&サンジ)
ウソップのすばらしい人間離れしたオール使いでかなり離れたのだけれど、アキースがなにやら落し物して。

そのせいで追いつかれ。
そして。





「彼女はベアキング様のお土産に、そしてこの子は俺たちのペットにするゾナ〜」

僕とナミさんはいつの間にかトランプ海賊団の幹部につれられていた。
…ここはおとなしくつかまっているほうが、無難かな。
僕はそう思いながら、なんとか身体を動かそうとするが「おらほらおとなしくしとかないと、彼女をどうするか判らないわよ〜」と言われたので動きを止める。
途端に僕の頭は帽子ごと海面に押し付けられたっ。

!」
「てめぇっ!」
…っ…いきなりだったから、海水が…っ。
いき、でき…。
呼吸が出来なくなって、僕は意識を失って。
気がついたら変な建物というかお城に連れられていた。

「無表情だな」
「こ、この子には手を出さないでよっ」
「あぁ、判っている判っている。ワシらの可愛い弟だものなぁ」

どうもナミさんと結婚を前提にお付き合いをしたいそうだ。
ナミさんの個人的趣味はともかくとして、僕としてはナミさんに釣り合うのはせめてサンジ並にかっこいい人がいいんだけどな。
…そう考えて、瞬きをする。
この世界に滑り落ちてから、初めてじゃないか?
自分の好みを思いついたのは。
流されるだけ流されて、生きることもしぬこともどうでもいいと思い知っていた僕のはずなのに。
…感化されちゃってるのかなぁ。
僕はそううっすらと思いつつ、トランプ団の幹部たちの様子を見る。
…この世界の人間も変わったの多いけど、変な体系とファッションっていうのは海賊の人たちにはやってるのか。
それともこの海賊団だけなんだろうか。
僕はナミさんとつかず離れずの位置を確保することにして、ルフィたちを待つことにした。
だって、彼らは絶対に取り戻しに来るに決まっているから。
船と、そして航海士のナミさんと、この麦わら帽子を。

…。

この島に置いていって貰うっていうのは、できなさそうかなぁ。
こんな海賊達がいるのであれば。
いや、ルフィたちが倒しちゃえばあるいは…。







僕の(ほんのうっすらとした軽いものだけれど)期待は案の定、裏切られることになる。




2007.04月頃UP

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