「…なぁ悪ィんだが、あいつら寝かしといてやってくれるか。昼間の航海で皆疲れてんだ…」

酔いつぶれたはずだとかほざく奴がいたから、俺はこう言い放った。

「剣士たる者、いかなる時も酒に呑まれるような馬鹿はやらねぇモンさ」

そう、ここウイスキーピークは海賊歓迎の町なんかじゃない。
ざっと見て100人程度だが、全員が賞金稼ぎの巣だったわけだ。
まんまとはまって眠っているうちの船長とクルーたちをおいて、俺は奴らを見下ろす。

「…相手になるぜ。『バロックワークス』」

俺の言葉に賞金稼ぎどもは案の定、反応を示した。
さぁ、新入りを試すいい機会だ。存分に暴れさせてもらうぜ!!
俺は『雪走』をまず握った。




「ん?」

何人か切り倒したその後に、建物からが出てくるのを見つけた。
いつもの無表情で、なぜかルフィが会話できる、自称『悪魔』で妖精とダチなあいつ…は、雰囲気がいつもと違うように思えた。
あいつは酒は呑まないで、多少飯を食ったら連中に頭を下げて、どこぞの家のベットを借りて寝ていたはずだが…。
ありゃあ、怒ってんな。
ルフィじゃないが、なんとなく判る。
つかみかかろうとする数人を、持っていた掃除用のデッキブラシでたたき伏せたのを見た限り…やっぱりいつもよりも力が入ってんじゃねぇか。

「おい! !!」

俺が呼びかけるとはすぐに反応した。
走りながら俺のそばにやってくると、あの金色の大きな瞳が俺を見上げる。
日焼けしてないように思える白い肌に、大きな金色の瞳。
…なんていうか猫っぽい面だ。

「どうした、寝てたんじゃねぇのか」

はいつもの無表情のまま地面に文字を書いた。

「あ? とられそうになった? 何をだ」

ヒメのタカラモノ、と書いて腰のベルトにくっついていた鎖をポケットから出すと、懐中時計のような形のそれを見せてくれた。
ヒメ。
確かナミとウソップが教えてくれた、こいつが変な女に自分を売った理由の一つになった、ガキの名前がヒメだったな。

「それがタカラモノか」

頷くは、ふいにブラシをくるりと回す。
チュイン!! という音が聞こえる。
ちょうど金具の部分に銃の弾を当てたようだ。
いい腕だ。
…本気で真剣な手合わせがしたいものだが、今はそのときじゃねぇよな。
はただ黙って俺に向かって小首をかしげた。
あぁ、こりゃあルフィじゃなくても判る。
俺は何をしてるのか、と聞いているのだ。

「ここの連中を斬ってんのさ。ここは賞金稼ぎの巣だったんだよ」

こくり、と頷く

「いいか、。ここにいる奴らは俺が全員ぶったぎる。刀の試し切りしてんだ。お前はさっきの連中はともかく、他の連中は倒さないように注意しろ」
「…」
「「難しい」? どうにかしろ。お前の力量ならできんだろ? そんぐらい」
「…」
「おぉ…そうだな。今、なんか話が通ったな、俺ら」

なんの感情も浮かばないの顔、なんの感情も浮かばないその金色の瞳だったが…ルフィじゃないがなんとなく、今は話ができたような気がした。

「いいな! 手を出すなよ!」

俺がそう強く言いながら、襲い掛かってきた連中をすれ違いさまに切り伏せる。

!!」

返事は? の俺の言葉にはただこくりと頷きながら、人質にでもしようとした連中に対してブラシで殴るのだが、微妙な手加減をしているらしく、相手は倒れてもいない。
やればできるじゃねぇか。
俺はとりあえず逃げたの援護をするかのように、そいつらを切り伏せた。

ウソップとナミからの事情は聞いた。
だが俺は連中のように同情はしない。
哀れみもしない。
半分とはいえ(上が男で下が女なのだとナミとエロコックが確認した)男なのだ、あいつは。
男が決めて、それを実行した。
最後まで貫こうとした。
ただそれだけのことだ。
そのやり方が、そして結果がどうあれ他の連中がとやかくいうべきことじゃない。
ルフィの奴は、話を半分以上聞いたところでのところにすっとんで行ったが…あれは別に哀れみとか同情しての行動じゃねぇ。
たぶん、だが。
俺は仲間としてあいつと接していればそれでいい。

そうこう考えているうちに、俺は三人を残して全員切り倒した。
この町の町長だと名乗ったイガラッパと、Mr9にミス・ウェンズデー。
この三人を倒せば、静かないい夜になるはずだ。
俺は最後には人質になったはずのルフィのゴムの身体を利用して、三人を倒したのだが、またどっからか奇妙な男女のペアが現れやがって。
勝手に連中と戦い始めたから人質になってたルフィを引きずって逃れたと思ったのに。




「剣士殿…!貴殿の力を見込んで理不尽なお願いを申し奉る!!!!」
「まつるな! 知るかよ!! 手を離せ!!」

俺が切り伏せ、そしてやってきた連中に倒されたあの変な髪形のおっさんが俺の脚をつかむ。
王女を守れとかなんとかいってるが、そんなもん俺には関係ねぇし、お前敵だったろうが!

「はるか東の大陸『アラバスタ王国』まで王女を無事送り届けてくだされば…!! かなラヅや莫大な恩賞をあなだがだに…!!」

知るか。

「おねがい、申し上げる!! どうか、王女…助け…」
「もっぺん斬るぞ」

あんまりしつこいから俺は刀に手をかけた。

「莫大な恩賞でホント?」

この声はナミ。
俺と、そして俺の脚を掴む男が見上げると屋根の上にとナミがそこにいた。
声の主はもちろんナミだ。
はあれから今までナミを守ってたんだろう。

「その話乗った。10億ベリーでいかが?」

にっと、笑うナミは、隣にいる自称・悪魔よりも俺には悪魔に思えた。
そしてそれはだいたい正解だったぜ。
その後のこの女と、男の交渉…いや、交渉じゃねぇな。



ありゃ脅迫だ。


無表情のの雰囲気が、どこかナミを感心しているようにも思えて「あんな女見習うんじゃねぇ」って言うと、あの金色の瞳が俺を見つめ、そしてまたナミに向かう。

「さぁ!!! 行くのよ、ゾロ!!!」
「行くか、アホ!! なんで俺がてめぇの勝手な金稼ぎに付き合わなきゃならねぇんだ!!!」
あーもー馬鹿ねー!! 私のお金は私のものだけど私の契約はあんたら全員の契約なのよ!!
どこのガキ大将の理屈だそりゃぁ!!! んで、お前も感心すんなぁ!!!!

結果、なんだかんだと言って俺を走らせることになる。
くそっ、ナミの奴…!
俺は「ろくな死に方しねぇぞ!!」とナミに言いながら、あのミスウェンズデーとかいう女を助けに走ることになったのだが…ってか、とナミの組み合わせを残すことに俺は少しばかり不安を残した。
……悪魔のあの女にが変な影響、されなきゃいいがな。
そう思いながら俺は追いつき、ハナクソを切る羽目になる。


2007.04月頃UP

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