「よーし!! 冒険だ〜〜〜〜!!!!!」

冒険はいいけれど、どうして僕はまるで荷物のようにルフィに抱えられてるんだろうか…。





リトルガーデンについたとたん、その植物や動物達を見てナミさんが船の上でログがたまるのを待つって言ってるのを聞きながら、僕はその密林を見つめた。
いや、本当に僕の記憶の中にもちゃんとある歴史で勉強した始祖鳥が飛んでいた。
もう本当に昔な気がする(いや、実際に昔なんだろうけど)時代…時代って言うのはおかしいか…では博物館とか行って化石を見たなぁ。

「冒険の匂いがする…! お前もそう思うだろ? 

ルフィの言葉を聞きながら始祖鳥が飛んでいった方向にずーっと顔を上げていた。

「ほら! も行くって! 冒険!! サンジ!! 海賊弁当!!」
「何? ちゃんも行くのか?」

サンジの言葉に僕は様子が違うことに気がついて僕はサンジや皆のほうに顔を向ける。
すると、ぐいっとルフィの手が頬に添えられて強引に顔の向きが変えられた。

「ルフィ!!」

非難するようなナミさんの声も聞かず、ルフィがきらきらした顔で僕に顔を寄せた。
わざわざ僕の目線に少し中腰になりながらも、だ。

「な? な? お前、あのとかげみたいな鳥気にしてたろ? 行ってみたらいるかもしんねぇぞ?」

瞬きを繰り返した。
行ってみたら、いる?
別にさっき見たけど…でも他にもいるんだろうか?

「いるに決まってんだろ!!」

ストックの仲魔のように簡単に僕の思考を読んでそう言い切るルフィ。
小さいけれどゾロの「あれは止まらねぇな」という呟きが聞こえた。

「おい! ルフィ!! 無理強いするな!! たとえペルソナとか使えたり、悪魔っ子だったりしてもはまだ子供なんだぞ!! こんななにか出るようなところに連れて行くな!!」

…僕の年齢はどうなってるのかな?
魂はけっこういい年齢だけれど、この世界になってからはこの封印された姿が実年齢に近いのかなぁ?
よく判らないな。
肉体の姿に引きずられて、精神年齢も半分くらいは子供になってるんじゃないかと思うけれど。

「平気さ〜。なぁ?
「あんたのそれに根拠ないでしょ!!」

ウソップの注意やナミさんの言葉にルフィは気にせず「しししししっ」と笑って僕の身体を担ぎ上げた。

「冒険! 冒険!」
「「だめだ…すでにイキイキしすぎっ!!」」
「じゃ、ちゃんの分も作っていいんだな?」

…こういうとき、拒絶してもきっとルフィは聞いてくれないから。
僕がこくり、と頷くとビビ王女も「私も行っていいかしら」と言い出した。

「よし!! 行くぞ!!!」
「…」
「おおよそで戻ってくるからっ!!」
「クェエエ」

そして冒頭になるわけなんだけれど……歩けるんだけどな。
いや、歩幅が違うからか?
僕はルフィに担がれたままあたり植物を見渡した。

「お、あっちに変なの発見」

こういうときのルフィの視力は、きっと普段の2倍ぐらいいいんだ。

「ほらっ、見ろよ。イカみたいな貝がいるぞ!! イカ貝!」

アンモナイト、かな? 
ルフィがおろしてくれたから、僕はその貝をまじまじと見つめた。
生きてる化石。
ルフィはそれを「ほら、イカ貝だ」と僕によく見せるために持ち上げる。
僕はそーっと貝に触れると。その様子にか、それとも違うことでかルフィはあの特徴のある「しししししっ」という笑い声を上げた。

「これって、アンモナイトに似てる…」
「イカ貝だろ!」

王女の声にきっぱりそういってるルフィをよそに僕はアンモナイトの貝の部分をなでてみた。
ごつごつしているなぁ。
ドシィン!という地響きに、ルフィの手が貝から離れるので僕はその貝を抱えて、それから水辺に戻した。

「なんで陸に海王類がいるんだ?」

え。

「恐竜!!!」
「恐竜!!?」

二人の言ったとおり、振り返ると恐竜がそこにいた。
えーと、あの恐竜ってなんて名前だっけ?
僕が見上げていると、なにやらビビ王女がこの島のことに関しての推測を口にし始めたけれど。
あ。
ゴムの手が伸びたかと思うと、ルフィは僕の頭に麦わら帽子をかぶせた。
とっさに帽子を押さえると、腰を掴まれて。
あ。
一気に風景が加速する。
彼女の話、半分以上聞いてないだろう。ルフィ。

「飛びつくなー!!!」

ほら案の定、怒ってる。

「すっげ〜、なぁ? 

気がついたら僕はその首の長い恐竜の頭のてっぺんに連れてこられていた。
僕は頭の帽子をルフィに返す。

「おーし、あんがと。にしても、すげーいい眺めだなぁ。ここで弁当食いてぇなぁ」

確かに。

「お、やっぱり火山があったのかぁ。…それにでっけい穴ぼこの開いた山もあるぞ〜。くぅうううう!!」

冒険の匂いがぷんぷん、とか考えてるのかな?

「危ないから降りなさい!!」とか言われて、僕は下を向いた。ビビ王女だ。「おとなしくても恐竜よ!!」

…でも、確かこの手の恐竜って草食のはずだった気がするから、平気じゃないか?
そうこう考えてたらルフィがなにやら恐竜と交渉(?)しはじめた。
力づくてゴムの手を伸ばして、首元を掴むと「あっちに連れて行ってくれ!」って言い出す始末。
その恐竜が一声ほえると、仲間らしい恐竜達が取り囲んだ。
下ではまだビビがなにやらわめいているが。

「すっげえええ!!!」

確かにすごいんじゃないかと思う。
壊れた僕にでもそれはわかった。

「あっちの恐竜のほうが高くて見晴らしがよさそうだ! 行くぞ!!」

ゴムの手を伸ばし、僕の手を引っつかむとルフィはまた飛んだ。
けれど恐竜達はその長い首で僕らのことを追いかけ始めたけれど。

「た〜のしぃなぁ!! なぁ? !!」

ひょいひょいと僕達は、というかルフィに手を引っ張られる形で僕も、と言ったらいいのか…とにかく僕ら二人は何匹もの恐竜達の攻撃をよけ、その首を滑り台にして遊び始めた。

「ビビ! こっち来るか?! 楽しいぞー!!」

ビビ王女が何か言ってるけれど、僕は答えられない。
…いや、わくわくっていうのもなんだけど、あぁ、たぶん、これは少し…『楽しい』って感覚かな?って思えてそれどころじゃなかったから。

「んしょ!」

ひときわ傷のある恐竜の頭に上って、僕らは周囲をまた見渡した。

「ここからの眺めはひときわいいぞ〜。なぁ?」

ルフィがそう言ったので僕も同意した。
気が緩んだのはその一瞬。
僕らはその恐竜に放り投げられ。

「あ」
「…」




ぱくり。




食べられた。

「どこだ〜ここ?」

口の中じゃないかな。
僕は周囲を見渡そうとしたけれど、そのまま恐竜が舌を動かして僕らをそのまま胃に運び出す。
ルフィはそれでも楽しそうに歓声を上げながら、僕の手と麦わら帽子をしっかりと押さえていた。

「お」

ふいに景色が蘇った。
そのまま空中に放り出された僕らは、大きな…本当に大きな手に助けられる。

「ゲギャギャギャギャギャギャ!!! 見ていたぞ! このジャングルの首長どもと渡り合うとは息のいい人間だな!!」

本当に巨人だ。
いつか僕が殺したことのあるトロールたちなんか目じゃないでかさ。

「ひさしぶりの客人だ」
「うっは〜〜〜〜でっけーなぁ。人間か?」
「人間か? と来たか。ゲギャギャギャギャギャギャ!! 我こそがエルバフ最強の戦士!! ドリーだ!! ゲギャギャギャギャギャギャ!!」

そう言うと巨人は僕達の顔を覗き込んだ。

「ほう、これは生まれて初めて見たな!! 金目の人間か! お前にエルバフの神の加護があらんことを! だ!!」

??

「俺はルフィ。こっちは。海賊だ」
「ゲギャギャギャギャ、海賊か。それはいい!! ゲギャギャギャギャ!!」

笑いっぱなしの巨人にルフィは地面を指差した。

「あぁ、あそこにいるのがビビとカルーだ。よろしくな!」

あ、カルー…失神してるんだろうか? まぁ、無理もないか。

「よし、お前達!! 家に招待してやろう!!! ゲギャギャギャギャ!!!」



これが僕らとエルバフの戦士の出会いだった。



2007.04月頃UP

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