土下座した俺とビビの様子に島の連中の一人が声をかけてくれて、俺達は準備が終わり次第島の中に行くことになった!
なんか魔女が独りいるとかどうの言ってたけれど、まぁいいか。
そんなことよりもナミだ、ナミ!
そう思ってたら、が甲板に出てきていて、そしてビビをあの金色目玉で見ていた。
あ、こいつ、なんか今ちょっとむかついてる。
ビビが怪我したからか。

くん、これは、その…」

ビビも気がついたのか、ちょっとおろおろしてる。
ゾロやウソップが何か言おうとしたそのとき、「人修羅ぁ、あたしそろそろ戻るわね」と飛んできたムシニンゲンをがしっ! とこうカブトムシ捕まえるみたく握り締めた。
まんまムシみてぇだな。

「ぎゃーーー!! またか! あんた!…って…え?」

ムシニンゲンがばたばたした後、動きとめて、そのあとにまた怒り出した。

「なーんで! あたしが! 人間の怪我治さなきゃいけないのよ!!」

あぁ、のやつ。
ビビの怪我を治してほしいっていってんのか。

「なんだー、治してくれんのか? ムシニンゲン」

俺がそういうと、ムシニンゲンは俺のことを睨んだ。
うわっ、おっかね。

「んだよ! なんで怒ってんだよ!」
「いいこと?! 人間! あたしは妖精! 悪魔の種族のひとつなの!! その妖精がなんだってなんの見返りもなく人間助けなきゃいけないのよ! それでなくてもこの島にもつれて…て」

なんか怒ってたムシニンゲンはの顔をじーっと見つめた。

「いいわよ、久々だしそれで勘弁してあげる。あんた、今人間の子供だもんね。加減もしたげるわ」

は捕まえていたムシニンゲンを放した。

「ほーら、そこの緑頭の人間もそのままでいなさいよ」

ゾロのことだ。

「…ちょっと待て、ムシニンゲン。お前、と何話したんだ」
「いいでしょ、そんなの。あんたには関係なーいの」

俺の言葉にムシニンゲンはそういうとふわり、と飛んで淡い光を俺達に振りかけた。

メディアラハン!!

その光は、俺達を包み込んで…。

「傷が…」
「大丈夫なのかい? ビビちゃん」
「えぇ」
「ゾロ、お前は?!」
「…そういや、足が…」

すっげーーー!!

「すげぇな! ムシニンゲン!」

俺がそういうと、ムシニンゲンはの、ちょうど顔の辺りに浮かんでいて。
そして俺の目の前で。
に。


キスしやがった。


「なにやってんだお前〜〜〜!!!!」
「いっ!」
「あ、あの…」
「「…」」

いやだって、キスで、その、チューだぞ、チュー!
それは好きな男と女がするもんであって…って俺ぁ何言ってんだ!?
を見ると、ムシニンゲンのそのチューを受け止めて、目を閉じないで、その視線の先にいた俺を見ていた。

っ!

それを見て、俺はなんてーか、こう。
むかっと来た!

「やめろ!!」

無理やりムシニンゲンをから遠ざける。

「ぷはぁ! こら、人間。何邪魔すんのよ!」
「うっせぇ! このムシニンゲン! に何しやがった!!」
「何ってマガツヒもらっただけよ」

まがつひ?
なんだそりゃ?

「ってーか、そんなの知るか! 返せ!! のチュー!!」
「「返せるわけねーだろ」」

サンジとウソップの突込みが入るが、俺は聞いちゃいねぇ。
ムシニンゲンが言うには悪魔ってーのは生き物のエネルギーを食べるらしい。
それがまがつひってやつか。
よく判らねぇけど…そんで今、チューしてのエネルギーを食ったんだそうだ。

…。

「って食うなよ!! を!!」
「食ってないわよ!! マガツヒは本人が対価にするってー言ってんだからいいでしょうが!! それにあんたは関係ないわよ!!」
「ある!!」
「なんでさ!!」

俺達が言い合いしてる間に、ふらついたをゾロの奴が支えた。
ってふらつくぐらいの力を吸い取ったのか、ムシニンゲン!!
俺が睨みつけるけれど、ムシニンゲンはかまわずゾロが支えてるのところに飛んだ。

「ルフィ、なんでそんなに怒ることがあんだよ」
「…まぁ、そのなんだ。ちゃんが嫌がってんならあれだが相手は妖精だし」

そんなの関係あるか!! むかっとくるぞ!むかっと!

「人修羅、じゃ、あたしは戻るわ。あとマガツヒ意外にたくさんもらっちゃったから、精霊ひとつだけしばらくかしてあげる。どれがいい?」
金色の目がムシニンゲンを見て。
が俺達の、いや俺を頼るのは本当に少ねぇのになんてムシニンゲンばっか頼ってる姿を、なんで俺が見なきゃなんねーんだ!

「ムシニンゲン!」
「煩いわよ、人間。…じゃぁね、人修羅」

手を振ってムシニンゲンが消えると、残ったのは瞬きしてゾロに支えてもらってる

〜〜〜〜〜!!

「ビビ! ナミにあったかいかっこ、早くさせて来い! サンジはナミを運べ!!」
「え、えぇ」
「了解、キャプテン」
「じゃ、俺は怪我も治ったことだし、船番してるぜ」
「くわ〜」
「じゃ、も船番…」

俺はの手を思い切り引っ張った。

「おい、ルフィ!」

ウソップの声がすっけど、かまうか。

「お前、一緒に来い!」

悪魔同士かなんかしらねぇけど、なんで俺よりもあいつら頼るを見なきゃいけねぇ?
なんでがチューしてるとこなんて見なきゃいけねぇ?
頭の中にさっきのムシニンゲンとのチューシーンが繰り返されて、俺はそれを振り払うかのように首を振ってからをおんぶする。

「連れてく!」

俺の耳元にの息がかかって、頷いてるのがわかった。
よし、お前も、元から行く気だったのか。
鼻息の荒い俺にウソップたちはため息をついた(なんでだ!)。
お前らはむかっとこねーのか?
こいつ、また自分を犠牲にしたぞ。俺に無断で勝手に!!

しかもチューしたぞ!!

「もうあんなこと、やんなよ!!」

俺は背中にいるを叱り、歩き出した。




もう、見たくねぇ! なんでかわかんねぇけど、むかつくから!

と誰かのチューシーンなんてな!!





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