決めていた。/いいのか?
どんな手を使ってでも、どんな代償を払ったとしても。/それは我らは一向に構わないが。
ナミさんを助ける。/いつも他人が理由だな。
サンジを死なせない。/見たくないからか。
ルフィを守ろう。/守るべき存在がないとだめな悪魔もお前しかいないな。

だから僕は、自分と仲魔とマガタマたちと決めていたその手順を一気に破った。
その代償として、しばらく身体は動かんぞ。

かまわない。




マガタマたちは笑った。
僕はケルベロスに目を向ける。
ごめん、ケルベロス。
この上まで運びたいから、だからマガツヒを僕に分けてくれない?

「…アァ、了解シタ。人修羅」

にっと獰猛にケルベロスが笑う。
雪崩から僕達全員をかばった上に、なんでか知らないけれどへんな三人組が僕らを襲ってきたからそのフォローに回ってくれてもいたけれど。
ようやく山のふもとまでこれたけれど…サンジは気を失ったままだ。
ルフィはナミさんをしっかりと布で固定している。
その間に僕は、ケルベロスからマガツヒを分けてもらって、そしてびりびりに破けた服を脱ぎ捨てる。
ズボンまで破けたな。

「ホラ」

ケルベロスが笑いながら何か魔法をかけてくれて、気がついたらちゃんと下にズボン、着ていた。
ま、どっちでもいいけど、服着てようが裸だろうが。
あぁ、けど裸ならヒメのタカラモノが持てないな。
首から下げるかな。
僕は懐中時計をズボンのポケットの中に押し込んだ。
鎖がまた勝手に動いて長くなり、僕の腰を一周すると金属音を立てる。
鎖のベルトみたいになったな…。

「もう少し我慢しろ、ナミ…サンジ…! …お前ここで…」

振り向いたルフィの目が大きくなって、丸くなっていく。

「お、まえ…」

僕の今の姿に驚いてるんだろうが、そんな暇はない。

コックを背負っていく。登るぞ、海賊王

いつもよりも高い目線。
ルフィの目線とおんなじだ。
封印してるときの声とは違う、それ。
身体の刺青は、きっと発光してる。

けれど。

僕がそう言うとルフィは大きく笑顔になった。

「おぉ!!」

ケルベロスが笑いながらストックに戻っていく。
よし、もらったマガツヒは十分だからたとえ身体が触れたとしても知らず知らずにマガツヒを取っていた、ことなんてことはない。
サンジを背負う。

「よし、登るぞ!!」

僕はこくりと頷いた。
僕の身体の中のマガタマたちが活性化してる。
キーキーと言い合いながら、身体の中でうごめきだす。
今、喜んでいるのはワダツミとカムド、ミアズマだ。

「平気か? ?」
あぁ

僕はそう返す。
早く、サンジたちを連れて行かないと。
一つ一つ確かめるように僕達はドラムロックを登り始めた。
…なんか、胸が邪魔だな。
そう思いながら、僕は山を登る。

「いてっ!!」

しばらく登っていたらルフィの手が離れる。
指からは血が出てる。
マガタマが活性化してるのなら、回復魔法も使えるかな、とか思うんだけれどどれも笑っていて僕に答えてはくれない。
僕はなんとか片手で自分とサンジを支えて、ゴムの手を伸ばした。

「…っ!」
「ありがと、!!」

両手両足からは、血を流しながらもルフィはそう言った。
僕は悪魔だから平気だけれど、ナミさんもサンジも、そしてルフィもただの人間。
早く、いかないと。
手を伸ばして、僕と同じ位置までルフィの身体をひっぱりあげる。

行くぞ
「あぁ!! 死なせねぇ!!」

5000mの絶壁を、僕達は二人でお互いを助け合いながら、なんとか登りきった。

「…医者…」
「…!」

白銀の大きな城がようやく見えたとき、ルフィの身体も限界だった。

「医者…!」

チョッパーは獣だ。
僕の存在と匂いが人間のものじゃないってことは気がついてるから、きっと様子を見に来てくれるはずだ。

「…ぐ…ぁ…」

僕は倒れこむルフィをなんとか支える。
凍傷がひどい。
せめて、城門まで連れて行かないと。
引きずってしまうのは、もう勘弁してくれ。
ナミさんが転がらないように、ルフィを引きずる。
サンジの息がどんどん小さくなっていくのを感じて、舌打ちする。


どっくん!!


やばい。


どっくん!!


無理した反動が今来た。
身体がどんどん動かなくなっていくのをごまかしながら、僕は城の門まで歩く。
目線が、身体が小さくなる。
感じなかった重さがのしかかっていく。
けれど、構うか!!
身体のラインの刺青が収まっていく。
マガタマたちがつかの間の活性に余韻を残しながらおとなしくなっいくのを感じる。
駄目だ、あと少しでいい。
門まで来ると、僕はルフィを放す。
ナミさんは無事だ。
サンジの体重が小さくなっていく僕の身体を押しつぶしていく。



ドン!!

ドン!!

ドン!!





僕は門をたたいた。
あまりに強い力で叩いたせいで手の皮がむけたけれど、こんなのルフィのそれに比べたら比較にもならない。



ドン!!

ドン!!

ドン!!



助けて



僕は、封印が元に戻って人間の姿になる直前に、自分でもわからないうちに叫んでいた。




仲間を助けてくれ!!!





僕は自分が何を言ったのか、理解しないうちに倒れた。

今、僕、なんて言ったんだ…?


ワダツミ/氷結魔法を中心に習得。氷結無効。
カムド/物理攻撃を中心に習得。物理に強い。
ミアズマ/氷結魔法中心に習得。氷結無効。

以上、マガタマの紹介でした。

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