(2)


意識が浮上する。
マガタマたちが僕を笑い、僕を悲しみ、哀しみ、僕を励ます。

お前さえこの国に来なければアラバスタはずっと平和でいられたんだ!!!



判ってる。
寝ている暇はないんだ。



どうだ 気に入ったかね、ミス・ウェンズデー。君も中ほどに参加していた作戦が今、花開いた。
アラバスタを守るんだ、アラバスタを守るんだ!
やめて!! なんてひどいことを!!!



ライドウ…いや、あの顔の傷からして、あのときの『僕』がであっただろうもう一つの世界の帝都を守る14代目、葛葉雷堂。
皆が弱いとはいえないけれど、今の彼らじゃ分が悪すぎるし…なによりも今の彼らに怪我なんてさせられない。
オフィサー・エージェントが立ちふさがるシーンが頭をよぎる。
そう…彼らは戦わなくちゃいけないから。


聞くが、『麦わらのルフィ』。砂嵐って奴がそう何度もうまく町を襲うと思うか…?
……!!
どういう意味…?
…まさか、あいつ…。

お前が、やったのか…!!

どうして、とかそういう理由も今はおいておこう。
足止めぐらいは、今の僕にもできるはずだ。
ずきん、と打ち抜かれたその場所が引きつるような痛みと一緒に熱を帯びているのが判る。



ビビ!! なんとかしろ!! 俺達をここから出せ!!!
ルフィさん…。
クハハハハ ついに命乞いを始めたか麦わらのルフィ!! そりゃそうだ。死ぬのは誰でも恐もんさ…。
俺達がここで死んだら!!! 誰があいつをぶっ飛ばすんだ!!!
…。
うぬぼれるなよ、小物が…。

…お前のほうが、小物だろ!!!!!

ビビの泣き顔が浮かんで消えた。
あんな泣き顔を、もうさせたくないって思った。/思ったのならば行動しろ。

言われ、なくても。

瞼を開けると、大きなワニが今まさにビビに襲い掛かる瞬間だった。
死んじゃう。
ビビは人間だから、あんなの食らったら。

死。

ビビの泣き顔、笑顔、声。
一気にそれが僕の頭の中に浮かんだ。
僕は手を伸ばす。

! よかった、気がついたんだな!!」

ウソップの声にルフィが振り向くその前に、僕は口を動かしていた。

ペ ル ソ ナ

ずくん!!!

いつものペルソナじゃない。
機械的なそのフォルムの中には西洋の鎧にもにたモノが含まれていて、あの世界での友達そのものの姿をしたペルソナが、現れるのを感じ取る。
バジッ! ジジジジッ! と言った何か混線してるような、そんな音がしていた。

「…ペルソナが、変わった」
「っ! なんだこれは!!」
「おい、サタンじゃねぇぞ!!?」

ねぇ

子供の声。
だけど僕の声であってそうじゃないそれが優しくささやいた。

死んでくれる?

ズガガガガガッガ!!!!

トランプに突き刺さった槍が空中に浮かぶと同時に、ワニの口めがけて落ちていく。
もちろん、ビビには当てない。
とっさにそのワニはよけて、僕の気配におびえたように後ずさりした。
…まずいな。
なんで今のがちゃんとワニに当たらない?
バジッ!! 
静電気のような音が響く。
…あぁ、そうかペルソナがちゃんと発動してないんだ…っ。
バジジッっていう耳障りな音が響く。

「今よ!! ビビ!!!」
「えぇ!!」

ナミさんの声を受けながらも僕のペルソナが繰り出したその槍を足場にビビは無事に階段を駆け上ったみたいだ。

「やった!! 逃れた!!」

それが気に障ったんだろう。
槍が消えていくのを見計らって、ワニが階段をばくりと食べて硝子が割れた。
一気に水が部屋の中に入ってくる。
…雷堂は、いない、か。

「ビビは無事か!!?」
「みんな!! くん!! もう少しだけ我慢してて!! 必ず助けを呼んでくるからっ…私は絶対に皆を見捨てたりしない!!!」

ビビの声に瞼を閉じる。

「おい、!!」

ペルソナにかまわず、ゾロが僕を抱き起こしてくれた。

ブチんっ。

ペルソナがいやな音を立てて消える。

「おい、おいっしっかりしろ、!!」

必死なゾロの声。

!!」

ウソップの声。

「あのペルソナ、治す力ないの?! 

ナミさんの言葉に、なんとか瞼を開ける。
…大丈夫、意識はあるから。
そう言おうとしたら、ルフィが僕を見ていた。

「…今の無意識か」

うん。

「治す力があるの、出せんか?」

今は無理…かな…。
血が流れすぎた直後のせいか、体がうまく動かない。
でもまぁ加重弾でよかった。
もしもこれが石化だったり、あるいは他の追加効果がある弾だったら目も当てられない。
サタンを出すにしても、あのペルソナを出すにしてももうちょっとだけ時間がかかる。

「ここから出るまで、お前休んでろ」



「治す力があるやつ、出せるまで休んでろ。それ以外のは出すんじゃねぇ」

…。

「いいな」

僕のペルソナ…今出したばかりのあれなら、この檻も壊せるかもしれない。

「船長命令だ。身体を休めて、治すやつ以外はだすな」

…。

僕はとりあえず、瞼を閉じた。
眠りはしない。
でもこうしていれば少しは回復できるだろう。

「うっし」

ルフィが僕の様子に満足したのか、頷いてる気配がする。

「にしてもどうやって出る? この檻がつかっちまったら終わりだぞ!!」
「ああああああ、水が膝まで来てたーーーっ!!」

それから三人はバナナワニを怒らせて僕らのいるこの檻を壊させようとした。
僕が目を閉じておとなしくゾロの腕の中にいるのがわかったのか、強気になったワニは襲い掛かってくるけれど逆にその歯が折れてしまう。

その音がよく聞こえた。

「おい、お前ら」
「何でてめぇそんな余裕なんだよ!!」

ウソップたちの抗議にも耳を貸さずに口を開いたスモーカーは、クロコダイルが何を狙っているのか聞いてきた。
ニコ・ロビンのことを言ってる。

「…あの二人が手を組んでた時点で、こいつはもうただの国盗りじゃねぇ。ほっときゃ世界中を巻き込む大事件にさえ発展しかねねぇってこった」

それが?

僕は瞼を開けた。

「世界ですって?! どういうこと」
「そりゃちょっと話がでかすぎ…」

ルフィと目が合う。
…スモーカー大佐の言葉、僕らに関係ないよね。

「あぁ、お前もそう思うだろ。
「ルフィ?」
?」
「何言ってんだお前ら。…あいつをぶっ飛ばすのに…!!! そんな理由、いらねぇよ!!!
「お前も同意見か? 

ゾロの言葉に僕は頷いて、また目を閉じた。
ちゃんとゾロは抱きかかえなおしてくれる。

「…。そうか。…で? ここをどう抜けるんだ」
「太ももまで来てるぞ!!! うぉおおお!!!」
「死ぬーっ!! 死ぬーっ!! ギャー!!!」

もう少し待ってくれたら、ペルソナ出せるから。
そうしたら。

「くそっ、俺にもっと剣の腕がありゃこんな檻…!!」

ゾロがそう呟いたそのときだった。

「食事中は極力音を立てませんように」

空気の流れが変わる。

『反行儀キックコース』!!!

巨体が浮く音、そして沈む音が聞こえた。
瞼を開けると、そこにはサンジがタバコを僕らに向け、こう言った。

「オッス。待ったか!?」



リミットが決まった。

僕たちも走り出さないと。


再UP ペルソナ「死神」発動。

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送