(1)


「こうみょうなわなだ」(ルフィ)
「あぁ、しょうがなかった」(ウソップ)
敵の思うつぼじゃない!! 避けられた罠よ!! バッッカじゃないの?!! あんた達!!!」(ナミ)

こんなことになるんじゃないかと思ってたけどね、僕…。ふはははははははは

マガタマたちの笑い声を聞きながら怒られている船長達を見ていたら、ゾロが僕の頭の上に手をやった。

、許してやれ。バカだから」

…いや、…まぁ、うん。
こくり、と頷いてみた。
話はこうだ。
レインベースについた僕達が最初にしたことはウソップとルフィをお使いに出して、しばらく休もうとしたこと。
けれどすぐに二人が海軍…ここにいるスモーカーとその部下達を引き連れてやってきたから、トイレに行ったチョッパーとそのままにして逃げ出した。
走って、走って、僕らが向かったのはクロコダイルがいるカジノ・レィンディナーズ。

「散ったほうがよさそうだな」(サンジ)
「そうだな」(ゾロ)
「よし、じゃあ後で『ワニの家』で会おう!!」

ルフィの言葉と同時に僕らは分かれた。

!」

ゾロの腕が伸びて僕を抱えると、そのまま背中に無造作に抱えられた。

「動くなよ! このまま行く!!」

…僕の足のコンパスが短いから、だから連れていくといってるんだろう。
遠くで「きてみろ、ケムリン!!」とかいう言葉がした。
ルフィは向こうか。

「心配か?」

首を横に振っても今のゾロには見えない、よな。

「いたぞ!!! ロロノアだ!!」
「ちっ、しつこい海軍だ」

立ち止まると、すらりと刀を抜く。
僕、降りたほうがよくないかな? 
僕の腕の力が弱まったのに気がついたゾロが、ちょっと腰を曲げた。
降りられなくなって僕はもう一度背中にしがみつく。

「…降りるな。ちょうどいいハンデだ」
「子供を人質にしているぞ!!」
「バカヤロウ!! こいつは俺らの仲間だ!! ボケ!!」

僕を人質と言った海軍に律儀にそう言い返す。
すらりと海軍のほうも刀を抜いた。
銃を持っているのもいるけれど…あぁ、僕に当たる可能性があるから二の足を踏んでるんだ。
なるほど。
そうこう思っていたら、ゾロのほうから動いた。
キィン!! という音がしたかと思うと海軍の剣が宙に飛ぶ。
さすが。

「役不足だ、出直しな…うっ」

う?

「ロロノア・ゾロ!! また会いましたね!!」

誰?

「…おい、俺はお前と戦う気はねぇぞ!! 勝負はついただろうが!!」
「!! …ついていません。私は一太刀も浴びてませんからっ!!」

チャキっとお互いの獲物が音を立ててる。
ゾロは刀を納めて、海軍の女の人は刀を鞘から抜き放つ。
次の瞬間、ゾロは指をさして女の人に言った。

「…っその顔をやめろ!!!」

無理だから、それ。
僕が背中でそう突っ込みを入れると、ゾロは「あいつは苦手だ」と言って走り出した。
走って逃げて、しばらくしたらウソップたちを狙ってる連中を見つけて。

「行くぞ!!」

はい。
ゾロの言葉に頷いたら、そのままゾロは連中にとび蹴りを食らわした。
ウソップたちと合流してすぐに、スモーカー大佐に追いかけられながら、ワニの家に入って。
「クロコダイル〜!!」と騒ぎ出したルフィたちと一緒にVIPルームに案内されて…。

ふははははははは。

マガタマたちが思い出して大笑いし始める。
…通路が分かれていた。
VIPは左、海賊は右。

「俺達は海賊じゃねぇか!!」

僕が静止する暇もなかった。
そこにあったのは落とし穴で、僕らは仲良く下に落ちて今に至る。
ルフィは無造作に格子に手をかけて外を見ようとした。

「…それより、俺、さっきから力が抜けて」
「なんだ? 腹でも減ったか?」

それが合図のように僕らの後ろで一緒におっこちたスモーカーの腕が動いた。
でかくて長い十手が、僕のすぐ脇を通り越してルフィをたたきつける。
がしり、と僕の後頭部を彼が掴んで、そのままなでるようにかき混ぜた。

「なんだ? …力がはいらねぇ…。水に落ちたときみてぇに」
「あぁ、そうだろうな。この十手には『海楼石』って代物が仕込んである。とある海域にのみ存在する不思議な石だそうだ」
から離れて…っ」

ナミさんの言葉に僕の頭からか手が離れた。
ずしん、とルフィのお腹に十手の先が食い込む。

「海軍本部の監獄の柵は全部これでできている。能力を持つ犯罪者が逃げられねぇようにな」

なるほど。
海が形をとったもの、か。
…でも、どうしてだろう。
僕はその十手や、この牢の格子が…気になる。/力が、そこにある
…そうかな? ルフィたちは力が抜けるのに。
そうこうしているうちにクロコダイルが姿を現した。
スモーカーとなにか話しているけれど、僕の注意はスモーカーの持っている十手に集中していて話を聞いていない。
ルフィがそのうち、おきだして言った。

「おい!! おまえぇ!!」

ガちゃん。

あ。

「勝負しほ…」
「だからその柵に触るなって!!」








そいつの気配に、僕は自分の目が丸くなるのを感じる。
目と目が合う。
なんで?
どうして?
世界が違うはずだ…!!
パシュン、パシュン! というかつて使いこなしたそれが火を噴いて、灼熱が僕の太ももと、そして肩を射抜いていく。
撃たれて、その反動で僕の身体は倒れていく。
頭を狙わなかったのは、致命傷のきっかけになるのを恐れて。/なぜならば殺すことが目的ではないから。
気配で人間じゃないことはもう彼にはばれているから、僕を仲魔にするためか。

ナミさんが何か叫んだ。
ウソップが悲鳴を上げる。
ルフィとゾロが信じられないものを見るような、そんな顔で。
スモーカーの制服を、血で汚した。
僕は、ただ倒れていく。

意識が遠のきながらも、そいつが使った銃弾の玉が「猛毒」とか「魅了」とかじゃなくて良かった、とうっすら思う。



そいつの存在を強く、感じながら。



そいつの名前は、あの世界での、平行世界での『僕』…。

14代目、帝都を守るデビルサマナー、葛葉雷堂!!!

再UP

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