海賊王(蘭視点)



「前々から聞きたかったのよね、ナミ」
「ん? なぁに? 園子」

買ったばかりの新聞を読みながら、ナミがそう返してくれる。

「なんで海賊やってんの?」

園子の言葉にナミは顔を上げて、それからしばらくしてにっ、と笑った。

「自分たちの夢の為」
自分たちの、夢の為。

その言葉がずっと耳から離れなくて、それであたしは探偵団の子供たちと鬼ごっこをして遊んでいたルフィに聞いてみた。

「ルフィ?」
「どした? 蘭」
「…ルフィの夢ってなぁに?」
「海賊王になること!!」

即答のその言葉は力強い。

「海賊王?」
「海賊王ってなんですか?」
「なんだおめぇら、海賊王もしらねぇで海にいんのか?」
「しょうがねぇだろ? 歩美や元太、光彦たちは違う世界から来たんだ」

ウソップがそう言ってとりなしてくれる。

「じゃあ、ゴールド・ロジャーも知らないのか」はゾロ。

近くで服部君がへたばってるから、またゾロと剣術の稽古でもしてたんだろう。
和葉ちゃんが服部君の世話を焼いているのを尻目に悠々と汗一つかかずに歩いてやってくる。

「かいぞく、おう?」
「よく、ルフィが言ってたのは知ってるけど」

コナン君はナナシちゃんの隣でそう呟く。



「昔、と言っても20年ほど前になるかしら。ひとりの海賊がいたわ」

ロビンがそういいながら哀ちゃんの頭を撫でる。

「富・名声・力。その全てを備えた『海賊王』ゴールド・ロジャー。その男もとうとう海軍に捕まり、処刑されるときに笑ってこう言ったと言う」
「わはははは、俺の財宝か?! ほしければくれてやる! 探せ!! この世の全てをそこにおいてきた!!」

ウソップが野太い声を真似てそう言って、ロビンたちは小さく笑った。

「それからが世に言う『大海賊時代』だ」
「じゃあ、ルフィはそのお宝を目指してるんだ」

元太くんの言葉に、船長は笑う。

「おう!」

力強く、見るもの、聞いているものを引き寄せて彼は言った。


「海賊王に、俺はなる!!!」

「なりたい」と「なる」の違い (コナン視点)



「ルフィは海賊王になりたいんだ」

園子の言葉にルフィは真顔になって麦藁帽子を被りなおした。

「違うぞ。なるんだ」
「へ?」
「海賊王に俺がなるって決めたんだ」
「だから、なりたいんでしょ?」
「ん〜、びみょーに違うなぁー」

ルフィが首をかしげる。
の目が傍にいたゾロに向かった。

「ん? あぁ、そうか。通訳か? 俺は…。いや、嫌じゃねぇけどよ」

ゾロはそういいながら、「おい、ルフィ。園子」と声をかける。

「園子がいってんのは『希望』だろ? 将来なりたいから努力する、とかそういう類だろう?」
「え? あぁ、そうね。そう」

こくこくと頷く園子にゾロが小さくため息をついた。

「ルフィがいってんのは、『夢』だが、もうこいつの中では確実に「なる」ともう決定されたことなんだ」
「そうそう、そのとおり」

大きくルフィが頷いた。
あぁ、そうか微妙なニュアンスの違い、というか…そういうことか。

「ルフィが「海賊王になる」って決めたからその結果に行き着くために生きてるっていう意味?」
「あぁ、そのために死ぬんならそこまでの男だってことさ」

ゾロがにやりと笑い、無表情のの頭をがしがしと撫でる。

「これでいいか」

こくり、とゾロの言葉に頷いてはルフィとまだ何か言い合いを始めた園子の様子を見つめた。

はルフィたちのことよく判ってるんだ」

俺の言葉にはしばらく考えて、それから小首をかしげた。

「うぉーーい、ナミさ〜ん、ロビンちゅわ〜ん、ちゃーん、園子ちゃーん、和葉ちゃーん、蘭ちゃーん、歩美ちゃんに哀ちゃーん。おやつですよ〜♪」
「うわーい、サンジ〜!! 俺達のは〜?」
「野郎どものは中にあるから勝手に食え!!」

サンジの呼びかけに僕らは歩き始めた。



「なりたい」と「なる」

希望と決定の違い、か。

俺はそう思いながらと自然に手を繋いでいた。


 

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